羽田空港の旧整備場地区にある格納庫の所有者らに対し、国が提訴に踏み切った。元所有者のWings of Life(金沢市、以下WOL社)は、国有財産(土地)使用料を滞納し、国に無断で所有権を羽田空港格納庫合同会社(東京・渋谷区、以下合同会社)に転売。国は両社への提訴にあたり、格納庫の所有権が再び転売されるケースを想定し、所管の国土交通省東京航空局が注意を呼びかけている。
建物は延床面積1万936㎡、築39年の航空機用大型格納庫で、国は国有財産法に基づき、WOL社に12年3月1日から16年3月31日までの使用許可と、12年4月1日から16年3月31日までの構内営業(航空機整備業、格納庫賃貸業、航空機運航支援業)の承認を行った。ところがWOL社は使用開始から5年連続で土地使用料の支払いを遅延。更に格納庫に無断で根抵当権を設定(空港管理規則違反)したことや、当初提出された銀行の預金残高証明書が偽造文書だったことも判明した。国は国有財産使用不許可処分、構内営業不承認処分を行い、原状回復と返還を求めた。
16年9月28日に国の処分取消等を求めてWOL社が提訴し、第一審、控訴審とも国が勝訴した。WOL社が上告したため最高裁係属中。この訴訟期間中にWOL社が空港管理規則に基づく国の承認を受けずに合同会社に格納庫を転売したことがわかり(18年5月22日所有権移転登記)、国は更地返還と不法占拠の損害賠償請求を求め民事訴訟を提起した。
東京航空局は、格納庫の更なる転売の可能性を警戒し、「もし第三者が格納庫の所有権を取得した場合、国はその第三者に対しても同様に法的措置をもって対処する可能性がある」と注意喚起している。(日刊不動産経済通信)
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