タワマン管理で何を目指すべきか(下)大阪経済法科大学経済学部教授 米山秀隆
大阪経済法科大学経済学部教授 米山秀隆

タワマン管理で何を目指すべきか(上)大阪経済法科大学経済学部教授 米山秀隆 より続く

 

中古市場での競争力を保てるか


 今のところタワマン人気は衰えず、その資産価値も上昇こそすれ、崩れるような動きは見られていない。一般のマンションが終末期の問題に目をつぶっていたように、タワマンも終末期の問題はまだ遠い将来のことと目をつぶっている。
 現時点でタワマンが直面している課題は、それより前の段階の管理や維持修繕の問題である。その点ではまずは、永住するにしろ一時的な住まいや投資対象として保有するにしろ、資産価値を維持する活動に取り組むことが利益になるという共通認識を形成していく必要がある。どのような立場の区分所有者にとっても、将来にわたって資産価値を維持することが自らの利益に直結することが理解できれば、管理や維持修繕に相応のお金をかけていくことを厭わなくなるはずである。その結果、中古市場で競争力を保つことができれば、永住志向の人にとっては資産価値を次世代に引き継ぐことができ、また、一時的住まいや投資対象として捉えている人にとっては売却時に損をしないことになる。
 「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」(59階建て、総戸数794戸、2009年竣工)は、そうした方向性に合致した先進事例と見ることができる。長期修繕計画を見直した結果、大幅な資金不足が生じることがわかり、2013年に修繕積立金月額を2.5倍に引き上げた。区分所有者の間で、適切な維持修繕によって資産価値を守り、ビンテージマンションを目指すとの意識合わせができたことなどが、大幅値上げに踏み切ることができた要因と考えられる。管理状態を資産価値に直結させるという意味では、今後は「マンション管理計画認定制度」や「マンション管理適正評価制度」が十分に機能するのかが一つのポイントになる。
 このようにして長期間、資産価値を保つ取り組みが行われ、終末段階ではそのエリアの価値により再開発などの形で更新されていくシナリオを描くことができれば、タワマンが最大限活用され、終末期の公費負担も極力少なくできる道になると考えられる。その意味では、価値を保てるかどうかが疑わしいエリアでのタワマンが増えることは問題である。
 そもそもタワマンが人口減少社会の中でも必要なのか、景観上の評価はどうなのか、またここで論じたような多くの問題を抱えていることなどを考慮すれば、筆者はこれ以上増やすことは望ましいとは考えていない。しかし現実に供給され続けている以上、その価値を保つ方策を考えることが、区分所有者にとっても社会にとっても望ましい結果につながる。

 2021/11/3 不動産経済Focus&Research

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