駅前老朽ビル再生で脚光―定期借地権・地代前払い方式の威力(上) 


駅前など都内一等地にある老朽化ビルが定期借地権マンションとして再生される事例が増えているという。参戦しているのは大手不動産会社だ。土地は手放したくないが資金がないため建て替えもできず苦慮している老朽化ビルのオーナーに対して、定借設定期間の全地代を一括して地主に前払いすることで、地主は土地を提供しさえすれば何もせず、新築されるマンションを借入金なしで取得することができる。まさに“魔法の杖”と言え、土地活用の最有望株として地主層に受け入れられ始めている定期借地権・地代前払い方式を見る。


マンション用地取得難が背景に
地主説得のためのコンサルティングを外注 

 東京・丸の内。皇居の森を眺めることができるビルの17階にオフィスを構える大手コンサルティング会社で、定期借地権に詳しいコンサルタントはこう語り始めた。「定期借地権ができて約30年経つが、一般社会での認知度はまだまだ。まして、16年前から始まった地代一括前払い方式については業界関係者の間でも知らない人が多い」。
 地代前払い方式は05年に国税庁がその授受される一括地代の税務上の取り扱いについて文書で回答したことからスタートする。国土交通省による契約書のひな型も作られている。当時、「新・定期借地権」とも呼ばれ注目を集めたこの方式は、地主が前受け地代を一括して受け取っても権利金のように一時に課税されることはなく、毎年均等に収益計上することができる。一方の借地人(事業者)側にとっても前払地代は毎年均等に経費化できるというメリットがある。大手不動産会社はこれまではこの地代前払い方式を使って公有地や神社などの敷地にマンションを建てることはあったが、一般民有地での活用事例はほとんどない。
 しかし、近年は都内でのマンション用地取得がますます難しくなる一方、駅前などの一等地で老朽化ビルが再生されないまま放置されていることに注目。規模は小さくてもマンション立地としては最高で売り出せば即完間違いなし。ところが、土地は手放したくないというオーナーがほとんど。そこで残る手法は定期借地権しかない。ただ、地主に対し定借コンサルティングを行える人材が少ないこと、その説得に時間がかかるリスクなどが課題となる。そこでそれらの業務を定期借地権に精通しているコンサルティング会社に外注するケースが増え始めている。駅前老朽ビル再生で脚光―定期借地権・地代前払い方式の威力(下)へ続く

2021/10/25 不動産経済ファンドレビュー

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