昨年6月に公布された改正マンション管理適正化法・マンション建替円滑化法の施行に関する政令がこのほど閣議決定され、2022年4月1日に全面施行することが決まった。公布から2年以内の施行が規定されていた改正法は、年度当初からの全面施行とすることで自治体の施策や管理組合の総会スケジュールなどと整合性をとったスタートを切る。 9月末には適正化法の基本方針も決定したほか、管理計画認定制度をオンラインで手続きできるようにする点や手続きを支援する指定法人の指定も規定。さらに長期修繕計画標準様式や「長期修繕計画作成ガイドライン」「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」も改訂し、認定制度の認定基準にも対応できるようにした。今回の一連の動きで改正法の運用に向けた大枠が固まった。
自治体の審査軽減、民間評価制度と同時申請も
国土交通省は管理計画認定制度の手続きにインターネットによるオンラインサービス「管理計画認定手続き支援システム」を導入する。管理組合がオンラインで申請することで自治体への届出が円滑になるほか、自治体にはオンラインでの手続きをベースに審査手続きを省略でき事務負担を軽減できる効果がある。またマンション管理業協会が運用する「マンション管理適正評価制度」と日本マンション管理士会連合会が実施している「マンション管理適正化診断サービス」への申請も同時に行えるようにする。2022年4月の運用会を目指す。
オンライン申請は管理計画認定を自治体に申請する上での事前申請の位置づけ。システムはマンション管理センターが運営する。管理組合がシステムを通じ認定を申請するとマンション管理センターで認定基準を満たしているか確認し、満たしていれば適合証を発行。
適合証は自治体での審査を不要とする証明になり、自治体の事務負担が軽減される仕組みだ。マンション管理センターが事前確認する上では、センターが実施する講習を受けたマンション管理士が事前確認の実務に当たることとする。
管理計画認定制度の運用に当たっては、審査を担う自治体にマンションの専門的な知識を持つ職員が少なく事務作業の負担が増え、認定に遅れが生じることなどを懸念する声も挙がっていた。システムの導入により、自治体の負担軽減だけでなく、管理組合が自治体へ足を運ぶ手間が減るほか、管理協や日管連の評価制度にもワンストップで申請できるなど、多方面でのメリットが見込める。
また国交省は、管理組合が計画を申請する際に必要となる書類や、自治体の審査業務を支援する指定認定事務支援法人の要件も定めた。
必要な書類は、▽管理計画認定を申請する決議をした集会の議事録の写し、▽長期修繕計画の写しと、その計画を作成・変更した際の総会の議事録の写し、▽申請した事業年度の直前の事業年度に関する管理組合の収支計算書や貸借対照表、▽申請日の直近に開かれた集会等の議事録の写し、▽区分所有者名簿・居住者名簿が作成され、年1回以上更新されていることが確認できる書類―など。
審査業務を支援する指定認定事務支援法人に指定される上での要件は、支援事務の実施に足りる経理的・技術的な基礎を持つこととしたほか、法人の役職員の構成が支援事務に支障を及ぼすおそれのないこと、支援事務以外の業務が支援事務の公正な実施に支障を及ぼさないことを挙げている。指定を受けようとする法人は、申請書に▽支援事務の開始予定日、▽支援事務の種類、▽申請者の名称・住所、代表者の氏名、生年月日、住所、職名、▽支援事務の実施体制―などを記載することとした。
2021/10/5 月刊マンションタイムズ