日本不動産研究所と商業コンサルタント会社のビーエーシー・アーバンプロジェクトは「店舗賃料トレンド2021秋」をまとめた。新型コロナウイルス感染症の影響度合いはエリアごとにばらつきがあり、ラグジュアリーブランドが集まる都心のプライムエリアは堅調だが、飲食店舗中心のエリアは空室期間が長期化している。
21年上半期の1階賃料は銀座エリアが坪7万1000円と20年上半期と比べ6%上昇し、最も高かった。次いで新宿が5万1500円(6%下落)、渋谷が5万1300円(6%上昇)、表参道が4万9700円(1%下落)、池袋が4万1200円(7%下落)だった。新宿、池袋は下落が続いている。
銀座エリアは「プライムロケーションについては空室もほとんどみられず堅調な状況」だが、「夜型飲食店の閉店が多く、空中階の空室が目立つ」と分析。プライムロケーション以外の裏手立地などは需給バランスの崩れから賃料ダウンが懸念されるとみる。新宿エリアは、新宿通りや新宿3丁目エリアの空室は少なく手堅い。特に新宿通りは渋谷や池袋と比べても空室が少ないという。一方、歌舞伎町は「回復には時間を要する」としている。渋谷エリアに関しても同様の見方を示した。
各エリアとも、ビル上層階への新規出店はコロナ禍でも比較的出店意欲の高い美容系のサービス店舗が中心で、飲食店舗の出店の動きは引き続き弱いという。繁華性の劣るエリアでは空室が埋まらず、オーナー側も賃料目線を下げてリーシングするケースも出てきているとした。(日刊不動産経済通信)