引っ越しのアート、コロナ禍の引っ越しで意識されたのは「通勤時間」が6割ーコロナ後求められるのは家賃が高くても、部屋が広く、短い通勤時間が実現できる住まい
アート引越センター(アートコーポレーションHP)

 アートコーポレーション(大阪市、寺田政登社長)の自社シンクタンクである『the0123引越文化研究所』がまとめたレポート「コロナ禍が引越に及ぼした影響について」によると、コロナ禍の引越に引越をした人の新居選びのポイントで最も意識されたのは「通勤時間」が6割弱だったことがわかった。テレワークの進展で部屋の広さを求めるユーザーが増えたものの、通勤時間を削る人は少数派で、家賃は高くなっても生活水準を下げたくないと考えているユーザーが多かった。調査は関東圏・関西圏の民間企業に勤める正社員で、20年10月~21年4月の間に引越をした480名と、この期間中引越を検討したが実施しなかった360名を対象に実施した。

 

引越し実施者の半数以上がコロナ禍を意識ー新居選びは通勤時間がポイント

 引越をした人に「コロナ禍を考慮・意識したか?」との問いには半数以上、55.4%の人がコロナ禍を考慮・意識していた。年代別でみると、この問いに20代では「とても当てはまる」と回答した人は20%台だったが、40代では33.1%と高い数値になった。40代の方が、配偶者や子供との同居率が高いため、コロナに対する問題意識が高かったみる。地域別では、関東圏は関西圏と比較し、コロナ禍を考慮・意識して引越をしたと回答した人が3.3ポイント多かった。

 コロナ禍の引越における新居選びのポイントとして、最も多かった回答は「通勤時間」(58.6%)だった。「少しでも感染リスクを下げるため、密になりやすい満員電車等に乗車する時間を短縮したい人が多かったと考えられる」(the0123引越文化研究所)とみる。

 2位以降では関東と関西で違いが出た。関東圏は「住居周辺の自然環境」が45.3%で2番目に多かったのに対し、関西圏では、「家賃」が43.4%で2番目に多く、次いで同率3位で「部屋の広さ(数)」と「住居周辺の自然環境」が37.2%。関東圏では、コロナ禍によるライフスタイルの変化で「住居周辺の自然環境」を考慮して引越をしたことが推測されるのに対し、関西圏では、「部屋の広さ(数)」や「住居周辺の自然環境」よりも、「家賃」を重視した引越をしており、地域差が表れた。

 2番目に多いのは、20代は「家賃」(48.3%)、
40代は「間取り」(39.1%)

 年代別では、20代・40代共に「通勤時間」と回答した人が最多だったが、20代は、40代より
も「通勤時間」を意識した人が多く、64.4%となり、40代と比較すると、7.9ポイントの差が生
じた。20代で2番目に多かった回答は「家賃」(48.3%)で、40代と比較して13.5ポイ
ント高いという結果に。

 「部屋の広さ(数)」 、「間取り」と回答した人をみると、40代は20代と比較して多く、両回答とも39.1%。20代で「部屋の広さ(数)」(32.2%)と回答した人と6.9ポイントの差が生じ、「間取り」(23.0%)と回答した人とでは、40代の方が16.1ポイント多かった。「同居人がいる割合が20代よりも高いと考えられる40代は、テレワークの際に集中できる部屋やスペースを設けたい人が多かった」(the0123引越文化研究所)と推測する。

コロナ禍でも転勤などを理由に引っ越しが行われている

 どのような理由で引越をしたのかについて問うたところ、最も多かった要因は「転勤」で20.8%。企業はコロナの影響で転勤の取りやめや延期を実施しているとされてきたが、実態としては全体の約20%は「転勤」を理由に引越をしており、コロナ禍でも企業は住居の移転を伴う転勤を一定数行っていたことがわかった。「転勤」以外では、「家(マンション)の購入・建て替えのため」(17.3%)や「結婚」(11.5%)、「転職」(10.8%)などのライフステージの変化によるもの、「引越前よりも広い部屋に住む(部屋数を増やす)ため」(10.0%)、「間取りを変えるため」(7.3%)などの住居環境の改善などが理由に挙げられた。

引っ越し先に求められる「テレワーク」のしやすさ

 前住居と比較して新居がどう変化したのかを問うたところ、コロナ禍の引越において最も考慮・意識された「通勤時間」は、「短くなった」と回答した人が最多(38.8%)。部屋の広さについては、「広くなった」と回答した人が最も多い(60.4%)という結果だった。家賃については、前住居よりも「高くなった」と回答した人が最多(39.4%)で、「変わらなかった」と回答した人を含めると全体の7割を占めた。これらの結果から、これまでの生活水準より高い、もしくはこれまでの生活水準を下げない引越をした人が多数存在したことが推測できるとした。

 20代と40代を比較すると、前住居と比較して通勤時間が短縮した割合は、20代の方が高く 「前住居よりも広くなった」と回答した人も、20代の方が0.6ポイント多いという結果に。コロナ禍での新しい生活スタイルに適応できる新居”を柔軟に選んでいたのは若年層であった。

 新居に「とても満足している」人のうち、8割以上が前住居よりも部屋が「広くなった」と回答した。これらの理由からテレワークの浸透やおうち時間の増加など、コロナ禍に合った新しいライフスタイルに合わせた部屋に引越したと推測する。

 引越先に求められたことは、「 “家賃が高くても、部屋が広く”、“短い通勤時間”が実現できる新居」で、テレワークのしやすさやおうち時間の過ごしやすさがカギになるとしている。


コロナ収束後には約9割が引越をしたい


 この期間に引越をしなかった理由として最も多かったのが「感染リスク回避のため」で約30%。「金銭面」で引越を取りやめた人は約20%存在した。コロナ禍に引越機会を逃した人の9割が、アフターコロナに『引越をしたい』と回答し、アフターコロナは引越需要が高まると推測できるとした。

 なおコロナ禍でもアートでは「引越件数が減少することなく、実績としてはほとんど影響はなかった」(アート)としており、この事象・動向を解明するため、引越に関する意識と実態を調査した。

 

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