SDGs企業マッチングのケーススタディ―東南アジア社会的企業との成功例&取り組む方法(上)より続く
・未電化地域に電気を届ける企業(マレーシア)
大企業向けにパネル設置やメンテナンス事業を行いながら、そこで上げた収益を元に未電化地域に電気を届けるプロジェクトを多数手がけている企業で、マレーシアのみならずアフリカや東南アジア諸国でもプロジェクトを立ち上げてパネルの設置や災害地への自立型電気供給のシステム寄付も行っている。地方の未電化地域にパネルを設置してもメンテナンスができずに結果的に運用されていないケースがあるため、メンテナンスが比較的容易なシステムを開発したり現地講習も行っている。
この企業は、小型システムの需要が高いことと自社製品の技術向上という観点から、日本製のパネルを希望していた。これに対して、ソーラーパネルを扱う日本企業が自社製品を販売してくれる現地企業を探していたため、わが社が紹介を行った。現在マレーシアにサンプルが輸出されており、これがうまく稼働すれば、現地企業が販売代理を行い日本製品が広く利用されていく予定である。
・安全で安価なレンガを提供する企業(カンボジア)
都市での中所得者層向け住宅不足がかなり深刻化しているが住宅建設にはかなり費用がかかるため、路上生活を強いられる住民も多い。「安価なレンガを提供し安全な家を建設する」というミッションを掲げた現地企業が廉価なレンガを自社開発し住宅建設を進めている。日本の技術や日本製品を希望しており、この企業との協業提案を行っている最中だ。
代表的なビジネスモデル
これまでのマッチング例から、現地企業と展開するSDGsビジネスモデルは以下の4つにまとめられる。
・現地での共同ビジネス展開:現地企業と共に現地マーケット向けのビジネス展開を行うもの。現地企業は現地ニーズを熟知しているためその意見を取り入れることで、より成功確率が高く展開できる→現地での合弁会社の立ち上げ等
・現地販売パートナー:日本企業の商品を社会的企業に販売し、同企業が現地マーケットに日本製商品を広める→販売代理店契約等
・業務提携/業務委託:日本企業の事業の一部を現地企業に委託するもの→業務委託契約、オフショア、協業等
・共同商品開発:現地企業とエシカル商品の開発を行い、現地生産・日本販売を行う貧困地域のモノづくり→共同ブランドの設立、現地商材の日本への輸入、ノベルティの製作等
(不動産経済研究所主催「逃れられないSDGs・脱炭素サプライチェーンの衝撃&地球ソリューション、SDGsから入る新規事業創出【オンラインセミナー、7/15~8/8 配信】」より抜粋収録)
2021/8/18 不動産経済Focus &Research