日本不動産研究所は、新型コロナウイルス感染症の流行と不動産投資市場への影響について、投資家にアンケートを実施し、137社から回答を得た。コロナによってネガティブな影響を受けており、「現在の状態が今後も続く」と答えた投資家は7割に達した。
このうち、影響が続く期間について「1年前後程度」と回答したのは約38%で最も多く、「2~3年程度」が約28%に上り、「今後さらにその影響が深刻化する」は約6%を占めた。一方、「影響から脱しつつある」との回答も14%あった。新型コロナの収束時期を聞いたところ、「収束までに2、3年は必要」が最多で33・8%を占め、次いで「来年の秋・冬までには収束」が33・1%だった。「来年の夏まで」は12・8%、「来年の春まで」は11・3%にとどまった。
アセットごとの影響については、オフィスで「ネガティブな影響があった」が63・2%を占めた。都心型商業施設、ホテルは「ネガティブな影響がかなりあった」が大半を占める一方、物流施設の過半は「ネガティブな影響は全くなかった」との回答だった。レジデンシャル(ワンルーム・ファミリー)も「ネガティブな影響はあまりなかった」が多かった。
不動産投資市場にとってインパクトが大きかった事象は1位が世界的な渡航制限で、2位がテレワークの普及、3位がソーシャルディスタンスの概念だった。テレワークに伴う影響が大きい事象に関しては、1位が「オフィスのスペックや機能等に対するニーズが多様化し精緻化する」、2位が「オフィスの都心立地志向に構造変化が起きる」だった。
調査時点は10月1日。アセット・アレンジャーや金融機関、デベロッパー、Jリートなどが回答した。
2020/12/8 日刊不動産経済通信