トップインタビュー・元谷外志雄アパグループ代表 直営を軸に出店拡大、東京と福岡に投資  ―都内には出店余地ある、欧州展開も視野

 ―5月に創業50周年を迎えた。  

元谷氏 注文住宅事業からスタートし、建売住宅、賃貸マンションと手掛けた。事業効率を追求した結果、ホテルに行きついた。ホテルは建設中の案件やフランチャイズ(FC)店舗なども含めると7月27日時点で667施設、10万3757室を展開している。  

―自社の強みをどう分析する。

 元谷氏 仕入れから設計・施工、運営までを内製化することで35%前後の高い利益率を保っている。ホテルを保有して運営するから建物が減価償却資産となり、長く運営するほど含み資産が増えていく。

 ―コロナ禍で宿泊需要が落ち込み、前期の決算では営業利益が97%減った。

 元谷氏 前々期よりも300億円ほど減ったが、もともと利益率が30%超と非常に高いため、利益が減ったとしても十分に回る。ホテル事業の利益率は通常10%もあれば高い方だ。保有資産の評価額が1兆3000億円、銀行などの借り入れが3000億円ほどで資金繰りにも余裕がある。今のような時期は事業継続を諦めたり施設を売りに出したりする事例が増え、競合他社も減る。当社にとってはシェアを高めるチャンスだ。  

―出張や観光の需要回復には時間がかかる。  

元谷氏 感染症は長くても2年で終わる。早ければ年内に収まるだろう。終わりが見えているからこそ積極的に投資できる。仕入れは大局的に判断している。

 ―大都市の中心部に相次ぎ出店している。

 元谷氏 需要のあるエリアを厳選し、東京なら都心5区の駅周辺など、交通の便が良く利用客が集まる場所で重点的に仕入れている。そういう場所は土地の値段が高いが収益性も高いため、結果的に安くつく。年内に開業する施設はすべてコロナ前に着工した分だ。

 ―最近は福岡市中心部への出店が多いようだ。  

元谷氏 国内の都市では福岡の成長性が最も高い。韓国や台湾などアジアの訪日客が最初に福岡を訪れる。ただ宿泊需要が圧倒的に大きいのは東京だ。福岡などの地方大都市と東京を行き来する需要をどれだけ取り込めるかがカギになる。

 ―これからの出店戦略を。

 元谷氏 東京23区では建設中のものも含め直営ホテル78軒を展開中だが、都内には地下鉄駅が280カ所以上もあり、まだ出店する余地がある。当社の全国シェアは7~8%であり、目標の20%以上にはまだ遠い。東京を柱として、成長が期待できる福岡にも資本投下する。札幌や仙台などの地方中核都市にはこれ以上ホテルを増やすつもりはない。

 ―FCの施設も増えた。

 元谷氏 例えば福岡なら市中心部は直営、市外や他県はFCと業務提携で出店する。自社保有・直営を店舗展開の基本とするが、利用会員が1900万人以上もいるため、地方にも拠点を増やす必要がある。  ―海外事業を視野に入れている。

 元谷氏 カナダと米国には出店した。次に向かうのは欧州だ。ただ急いではいない。北米でさらに施設を増やしたいという考えもある。当面は国内で圧倒的なシェアを取ることに専念する。そうなれば好条件で海外に出られる。国内のホテル市場は上位3社が施設数と部屋数で競り合っているのが現状で、寡占化の達成にはまだ時間がかかる。25年3月末までに提携を含むアパホテルのネットワークを15万室に増やす目標だ。(日刊不動産経済通信)

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