コロナウイルスは不動産市場に広く影響を与えている。各プレーヤーにとって見通しにくいマーケットが続きそうで、判断には一定のハードルが課されている。不動産経済研究所は「コロナ下の不動産マーケットを展望する」と題したウェブセミナーを開催(9月24日迄)。各アセットと投資市場の見通しと戦略などが示された。一部の概要を紹介する。
リベンジトラベルの需要が蓄積
休暇自由度高まれば地方リゾートへの波も
ホテル市場は、立教大学ビジネススクール特任教授の沢柳知彦氏が解説。マーケットはリベンジトラベルの需要が蓄積している。日本の旅行需要は、もともと国内旅行者が80%だったので、インバウンドが回復しなくても、国内旅行者が旅行すれば、ホテルマーケットの回復は期待できる。また年間3100万人の訪日客は回復しなくとも、年間1500万人が海外に行っていた。この人たちが旅行先を国内に振り替える可能性もある。インバウンドより消費単価が高いことが期待できるので、失われた20%のインバウンド分も、一定程度は賄われる可能性がある。ニューノーマルの社会で全く回復しないことはないだろう。コロナ問題を機に、リモートワークやオンラインなど一気に普及した。日本のレジャーの宿泊需要は凸凹、季節変動性が高い。平日も休めない。しかし自由度が高まると、今までとは全く違う地方リゾートのビジネスの波が作られる可能性がある。今、3密対策をして本来のキャパシティーを下回るような運用をどこのホテル、レストランでも強いられている。そうするとピーク時を設けることが出来なくなっている。ますますオフピーク時にどうやって儲けるかが経営上大きな課題になってきている。例えば朝食の一定時間に混む課題があるとすれば、早起き時に別メニューが出る、「Grab&Go」のコンセプトを充実させるなど。ブランチやアフタヌーンティーで稼ぐことが重要に。平日に来てもらう、長期に滞在してディスカウントしてきてもらう、ビジネスホテルを昼間にリモートワーク用として貸す。1つの部屋が二毛作として利用できる。もっと長期で休暇をとれる仕組みを作ることでオフピークに人が流れていく。今後ホテルマーケットが生き残る土台作りが政府の仕事ではないか。