三幸エステートとニッセイ基礎研究所は東京都心における第2四半期(2Q、4~6月)のオフィス需給動向を示す「オフィスレント・インデックス」をまとめた。空室率はAクラス(級)ビルが前期比0・1㌽増の1・9%とほぼ横ばいだが、B級ビルは1・4㌽増の4・0%と約6年半ぶりに4%台に乗った。より小規模なC級ビルの空室率も0・3㌽増の3・6%とB級ビルほどではないが緩和基調だ。企業らが自社ビルなどに拠点を集約する動きがあり、中小規模のB、C級ビルに空室が生じるケースが目立っている。
坪当たり月額賃料(成約ベース)は全等級でやや増加した。具体的には、A級は23円増の3万5332円、B級は201円増の2万250円、C級は155円増の1万6838円に。いずれも一昨年から下落基調が続いてきたが、2Qは大きな動きがなく下げ止まった。ただコロナ禍の影響が出始めた前年同期との賃料比較では下げ幅が10%前後と大きい。A級は9・1%減、B級は7・5%減、C級は12・8%減と特にC級ビルの値崩れが目立つ。全等級の賃料が前年同期の実績を下回るのは5期連続だという。
A級ビルの空室率は3期連続で上昇したが、空室率の上昇ペースは鈍る傾向だ。都心では期中に複数の大型ビルが空室を残したまま竣工したほか、テナントが抜けた後の二次空室も増えているが、競争力の高いビルには強い引き合いがあるという。空室消化を急ぐ貸し手が賃料を下げる動きもあり、空室率の上昇が抑えられていると三幸らは分析している。
三幸の調査では一定期間におけるテナント入居面積の増減を表すネット・アブソープション(吸収需要)が20年2Q以来、約1年ぶりにプラスに転じたことも判明している。(日刊不動産経済通信)