シリーズ;プロップテックの新境地①ーiYell 窪田 光洋・代表取締役社長兼CEO(上)

 プロップテック(不動産テック)は、世界的にガレージビジネスの段階から成熟期を迎え、2010年代におけるプロップテック「2.0」から新テクノロジー領域「プロップテック3.0」へ移行しつつあるとの見方がある。日本では既存市場のディスラプターと見做されたテック勢力が淘汰される一方、一定のソリューションを提供する企業が選好される状況にある。これから日本におけるプロップテックはどう進展するか。住宅ローンテックを手掛けるiYellの窪田 光洋・代表取締役社長兼CEOに、現在の事業の状況と、住宅購入に関連する金融課題の解決を目指すFintech事業「iFinance」の立ち上げ意図・経緯および詳細、今後の取り組みについて話を聞いた。

ーiYellが始めた新規事業「iFinance」とは

窪田氏 コンセプトである「Internet 〜オンラインツールを活用し非対面化へ〜」「Instant 〜タイムラグがなくなることによる期間短縮化の実現〜」「Innovative 〜必要な資金を最適なタイミングで調達可能に〜」という3つの頭文字とiYellの頭文字の「i」から作られた造語。既に第1弾、2弾のリリースを出し、第1弾では住宅という高額な商材に対して一定の自己資金が必要となる住宅購入希望者と、住宅を建てるまでの資金確保が求められる住宅事業者をサポートすることを目的に、事業展開を行うという内容でリリースを出し、第2弾では、住宅事業者の課題の一つである建築資金をサポートする事業者向けのつなぎ融資の商品のリリースを出した。第3弾も近日公開予定だ。

ー米国では住宅ローンを求めるユーザーと金融機関をAIでマッチングするスタートアップが登場している

窪田氏 アメリカだと「オンラインモーゲージブローカー」が一般的になっている。アメリカでは家を買いたい一般ユーザー向けにオンラインモーゲージブローカーが存在するが、日本は家を何度も買うことがないし、日本の住宅市場では一般消費者が住宅ローンを選択することは少ない。日本では仲介・販売する不動産会社とか建築業者がエンドに替わって ローンの斡旋、ブローカレッジ業務をやっている。そこで当社はエンド向けではなくて、ブローカレッジ業務を行っている事業者向けに、ブローカレッジアプリを提供している。
 
ー特徴は

窪田氏 当社のアプリを使ってもらえれば、ローン周りの仕事は丸投げでき、事業者は本業に集中できる。住宅事業者は、仕事に費やす時間の25%が住宅ローンの仲介に取られている。中には50%に達している事業者もある。いくらローンを仲介しようが事業者の収益にはならないし、それはないに越したことはない。当社は事業者が本業に集中できるような戦略でやっている。

ー実績は

窪田氏 アプリの利用者数は日本で2500社以上。当社は アプリを通じて顧客に最適なローンを提供しようと 銀行と提携し、ローンの審査情報が我々の「モーゲージコア」というシステムに入っている。モーゲージコアは、何万項目ものビッグデータがあって、顧客属性を入力するとその裏側にある、何万項目ものでデータをAIが計算し、最適なローンを3つほど提案する仕組みだ。人間を使わず複雑すぎる計算を行って、顧客にとってもっとも適したローンを モーゲージコアが出す。業務効率化を行いながら、同時にその中のシステムを使って最適なローンを提供している。

ーAIで結果が出せるとなると、銀行がやることが減る 

窪田氏 将来的には銀行のローン審査ゼロとすることも可能かもしれない。当社も相当数、お客様の書類を整えて銀行に渡しているので、iYellの案件は楽だと相当言われる。提携銀行数は40〜50行ほどだ。

ー金利などで有利な商品を探すことは、ネットで無料でできるのではないか

窪田氏 銀行からすると、アフィリエイトサイトだと銀行の審査基準に合わない人が大量に出てしまう。アフィリエイトサイト経由から50件の申し込みがあっても1件しか融資に繋がらない。でもうちは2、3件に1件が融資に至る。それはその銀行はこういう客が欲しい、ということを前提にしているからで、ミスマッチが防げる。銀行にとってとても有益なシステムだ。スクリーニングをしているのだ。例えるならば、センター試験の足切りのように足切りをしているので、初めから借りられない人が行くことはない。 

ーユーザー数は

窪田氏 利用者はユーザーの相談件数ということでカウントしており、1万2000件弱だ。アプリは事業者に提供しているが、そのアプリは グループチャットになっていて、事業者の先には必ずエンドユーザーがセットでいることになる。

ーこういった事業はいつから? 事業の規模感は
 
窪田氏 このビジネスモデル自体は3年前からスタートしている。このアプリの一部機能はビジネスモデル特許を取得しており、(株)東京商工リサーチ調べでは、提携事業者数、提携金融機関数、および年間の利用金額でそれぞれ1位(2021年5月時点・2021年度結果)をとっている。 

シリーズ;プロップテックの地平②ーiYell 窪田 光洋・代表取締役社長兼CEO(下)へ続く

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