シリーズ;プロップテックの新境地②ーiYell 窪田 光洋・代表取締役社長兼CEO(下)

シリーズ;プロップテックの地平②ーiYell 窪田 光洋・代表取締役社長兼CEO(上)より続く

ーエンドユーザーにおける住宅資金の課題をどう見るか

窪田氏 日本の銀行が対応仕切れないゾーンが一定数あると思っていて、そこに課題があると思っている。例えば個人だと、GAFAに勤めているような、外国人エンジニアだとか。優秀で高収入だし、どう見ても審査落ちしないと僕は思うが、現在の住宅ローン審査の基準だと、審査には落ちやすい。何故ならば日本国籍がないからという理由だ。他にも、単身者や女性が住宅ローンの審査に落ちやすくなっている。審査基準となる前提のペルソナが五人家族の父親で、職業は公務員や大企業勤務の役員。日本の住宅ローン市場ではこういったペルソナがいまだに「正しい」とされている。そこから外れれば外れるほど、審査に通りにくい状況だ。

ー時代は変わっている

窪田氏 単身者はごく普通の存在であり、女性の社会進出はもはや当たり前だ。フリーランス・自営業も増えていて、国籍も多国籍だ。そう考えると、住宅ローンビジネスとしてやるべきことはたくさんある。世のローンの審査基準が世の中に追いついてないと感じる。 それは個人の例だが、事業者の側も追いついていない部分はあると思う。そのためブローカレッジをやりつつ、パートナーの銀行ができないところをサポートしていきたい。そういった想いから、iFinanceというサービスを作った。
 
ー事業者が追いついてないところとは

窪田氏 iFinanceの第1弾はつなぎ融資だ。家を建てるのは平均8ヶ月程度かかる。その間に工務店としては大工を呼び、 資材調達して、そのお金を払って家を立ててもらう。だが、住宅ローンというのは完工一括で、完成しないと住宅ローンが出ない。その8ヶ月間の大工の代金は工務店が立て替えるので、資金繰りに苦労することになる。何棟もやるとキャッシュが持たない。住宅ローンが入ってこなければ、住宅事業者として事業を成長させられない。そのため当社のプラットフォームに乗ってくれている工務店に限定して、数ヶ月間の資金繰りを支援する、つなぎ融資をスタートした。

ー実際に融資するのは
 
窪田氏 当社が融資する場合もあるし当社と提携している金融機関が融資する場合もある。提携先の金融機関は何社かあるが、繋ぎローンというニッチで銀行が手掛けにくいところは自社でやるか、1、2行の銀行と組んでできたらと考えている。第1弾はつなぎ融資で、今後はいろんなローンを手掛けていきたい。

 
ー自社でローンを拠出するとなるとリスクがある

窪田氏 リスク管理という面では私は前職で債権管理を長く経験しており、こうやれば事故が起きないというノウハウがあるため、それをしっかり抑えていればリスクは高くないと考えている。加えて、当社のプラットフォームに乗っている工務店のみを対象とすることにより、当社とこれまでも取引があり信用力を把握しているので、むしろそこが強みになる。当社のアプリを利用する2500社のうちの工務店・ハウスメーカーの約数百社が対象となる。 

ー第2弾は

窪田氏 今後の構想としては、一般のユーザー向けに住宅の買い替えの場合にサポートするようなローンや、事業者がまちづくりをするような場合のローン、プロジェクトファイナンスのサポートをしていきたい。 エンドユーザーの買い替えについては、既存のローンに残債があると、一旦それを返さないと、新たなローンは借りられない。例えば今日ローンを全額返して家を売却し、その日付で新しい家を買えればいいがそのようにタイミング良くはいかない。売る時と買う時のタイミングが合わない。「家なき子」にならないよう、それをファイナンスでどう解決できるか、といったサービスについて検討している。 

ー家なき子を防ぐローンの設計の仕方はどういうイメージか

窪田氏 米国ではiBuyer(アイバイヤー)というビジネスモデルがあるが、それに近い形で、当社が一旦買い取って、残債をゼロにする方法が考えられるのではないか。日本にはそういうサービスがないので、買い替えの時にとても苦労している。一旦売ってから仮住まいして、新居に移るというのは非効率。本来ならば新しい家に直接引越しできた方がよい。

 
ーテクノロジーがあるからこそ具体的に解決できるものとは

窪田氏 このコロナ禍の1年で感じているのは、コロナになってから当社のサービスは伸びていて、I Tだからこそ非対面でサービスが完結する点が評価されていると感じている。東京では緊急事態宣言がまた発令されたこともあり、今後より一層、非対面ニーズが出てくる。また、住宅ローンの数は国内に1000以上あり、人力で最適なものを選ぶことはプロでも難しい。プロでもそこまで多くの商品を覚えられないので、モーゲージコアのようなローン商品の抽出システムのニーズは高いと感じている。

ー住宅ローンとITとの親和性をどう見るか

窪田氏 ITとマッチするのは「高頻度・低価格」なサービスや商品だ。金融の分野で言えば、株だ。これは取引が高頻度だからだ。こういうものはITと相性がいい一方で、ローンは超低頻度だ。人が住宅を買うのはせいぜい人生で一回きり。そして価格が高いので、人に相談したいというニーズがある。そのため、プロに聞きたい、となる。生命保険もネットのシェアはまだ3%程度だと聞いたことがある。ほとんどが対面だ。プロに聞きながら契約したいというニーズがまだ高いのだろう。同様に住宅ローンも人に聞きたいというニーズがある。当社が常に意識しているのは一歩先ではなく、半歩先のテクノロジーを使うことだ。アプリで非対面だが、その向こうには人がいて相談に乗ることができるというような世界観を大事にしている。

ー今後の目標、展開は?

ユーザー、事業者の課題解決としてiFinanceを展開していく。銀行をディスラプトするわけではなく、住宅ローンはブローカレッジ業務として銀行と手を組みながら、銀行ができない部分をサポートする関係でありたい。金利のビジネスをしようとは思っていない。あくまでもIT企業なのでシステム料で儲けていく。iYellが金利で儲けだしたら金融機関になってしまう。あくまでも「最適な住宅ローンを提供する」というのがiYellの役割だ。

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