市場が好調に推移する6つの理由―首都圏の中古マンション市場を見る(下)
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 市場が好調に推移する6つの理由―首都圏の中古マンション市場を見る(上)より続く

中古マンション市場が好調に推移している。3月も成約件数が4228件で単月では過去最高を更新した。近年、中古マンションの取引件数が新築マンションの販売戸数を上回っており、成約価格は10カ月連続して前年水準を上回っている。購入者が中古マンションに向かう理由は何なのか、新築とのバランスはどうなっているのか。足元の市況と今後の可能性を見る。

中古のネガティブイメージが払しょく

生活スタイルの変化で住宅需要が顕在化

 中古マンション市場が好調に推移する理由は6つある。1つ目は新築マンションの供給が激減していること。ピーク時の8万戸台から足元では3万戸台と市場が3~4割まで縮小しており、エリアや立地、広さ、間取り、価格等で新築マンションの選択肢の幅が狭まった。ゆえに、マンション需要を新築市場だけではカバーしきれなくなった。2つ目は新築マンションの価格が大幅に上昇していること。2017年から2020年の3年間で、23区の新築分譲単価は16%アップ。2020年の23区における新築マンション平均価格が7712万円で一般のサラリーマンでは手が出ない価格帯になった。しかも60㎡程度の狭小面積しか買えない。一方で、中古マンションの品質が向上している。それが3つ目の理由だ。インスペクション等により住宅性能の透明化が進み、中古マンションの品質の信頼性が高まった。また、リフォームやリノベ技術の進歩に伴い、内装面では、品質や見た目でも新築と遜色のないリノベ商品や購入時に自分の希望通りにリフォームを行うケースも増加している。4つ目は中古の住宅ローンが充実していること。金融機関の評価や対応も柔軟になってきており、過去と比べて格段に買いやすくなっている。

 さらに、新築信仰が薄まってきていることも大きい。近年は新築マンション契約者の5割超が中古との並行検討をするなど、以前のような中古に対するネガティブなイメージが払しょくされ、積極的に中古を検討するなどポジティブなものに変化している。最後は、中古マンションの売り物件が減少していること。コロナ禍による将来不安の影響も多少あるものの、現在の新築マンションはグロス圧縮傾向が強いため、買い替えようにも現在所有している住宅よりも狭くなるケースが大半で、買い替える意義を見出しにくい。また、多少無理してでも新築に買い替えたいといった住宅に対する上昇志向もコロナによって抑えられている。加えて、さらなる中古価格の上昇期待で、売り急がずに様子見しているマンションオーナーも発生しており、その結果、需給バランスが好転。売り物不足が売れ行き好調につながっている。

 コロナによる生活スタイルの変化(ステイホーム、リモートワーク)で持ち家志向が高まり、住宅需要が顕在化した。前出の杉原副社長は「利便性を多少犠牲にしてもいい人は(新築で)郊外に向かっている。だから郊外も戸建ても中古も1億円前後も億ションも全部売れている」と指摘。ただ「供給は縮小均衡であり、市場はあくまでも実需・一次取得者層がメインに動いており、超低金利の住宅ローンに支えられている」という。現状のマーケットを拡大していくために、課題は残されているものの、超低金利政策と縮小均衡が続く限りは、中古・新築ともに好調な売れ行きはしばらく継続すると見てよさそうだ。

2021/06/25 不動産経済ファンドレビュー

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