国土交通省から事故物件に関する、宅建業者が売買や賃貸の契約者に告知する対象についてのガイドライン案(心理的瑕疵ガイドライン案)について、事故物件やその情報を取り扱うプレーヤーはどう考えているのか。事故物件情報サイト「大島てる」を運営する、大島てる氏にガイドライン案についての感想を聞いたところ、「支持している」との考えを示した。
今回のガイドライン案のポイントは、①病気、老衰、転倒事故による死亡(自然死及び不慮の事故死)は告知の対象外 ②殺人、自殺、火災による死亡は告知の対象 ③賃貸については②の事案の発生から3年が経過すれば告知は不要ー といったもの。
告知しなくていい範囲が明確になったことは、現場の取引に支障を生じさせない点で意味があることが、実際の消費者心理としてはどこへ向かうのだろうか。例えば事故発生後3年が経過しようがしまいが、「大島てる」のような事故物件情報共有サイトが存在している時点で、気になる人はネットで検索して情報を得ようとするのではないか。
むしろガイドラインによって、大島てるサイトの価値が高まることに繋がるのではないか。正確にいえば、宅建業者から告知されなくても、あら捜しする人が今以上に出てくるのではないか。
大島てる氏にこの点について問うたところ、「実は私も同感だ。ただし、そのような思惑から本ガイドライン案を支持しているというわけではない。また、必ずしもそのような展開になるとは限らず,予断は許されない状況だ」と述べた。
ガイドライン案には、①「自殺」ではなく「自死」という語が用いられている点 ②「遺族のプライバシーに対する配慮が必要であることから、特に慎重な対応を要する」といった文言ー がある点について触れ、こうしたポイントについて「看過すべきではない」として、事態を注視しているようだ。
「法的な用語としては『自殺』が正しく、『自死』とは、自殺者遺族の団体などが提唱している言換え語だ」(大島氏)として、「委員らは心情的に遺族寄りなのではないかと感じている。不動産業界と対立していると(だけ)思われがちな我々だが、実際には自殺者の遺族団体もまた主要な抵抗勢力なのではないか」と持論を述べた。
一方、今回のガイドライン案が示されたことを受けて、大島てるサイトはネット上で激しく糾弾されている。一例を挙げれば
この点について大島氏は 「ガイドライン案を素直に読むと,上記のような反応は失当だ。『大島てるはガイドラインに戦々恐々のはずだ』との見立てもまた的外れだが、そういう立場から本ガイドライン案に賛成するという勢力が一定程度存在する点には留意したいと思う」と述べた。