クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はアジア太平洋(APAC)主要都市の目抜き通りにおける路面店賃料の集計結果を公表した。実績値は20年第4四半期時点。首位は香港・尖沙咀(坪当たり月額50万円)で、2位東京・銀座(38万円)、3位シドニー・ピットストリートモール(30・3万円)と上位3位は前年と同じ顔触れに。コロナ禍の影響で、調査対象地点の約3分の2の賃料が下がったという。
C&Wがまとめた「アジア太平洋のメインストリート(21年版)」によると、コロナ禍で特に中国・香港やインドの主要都市で賃料相場が崩れた。香港では民主化を求めるデモの影響もあり、銅鑼湾の賃料が前年比43%減、中環が42%減などと大きく落ちた。
一方、中国本土の小売業は底堅く、賃料の下落率は平均で5%程度に抑えられた。ただ北京の中央業務地区(CBD)の平均賃料が14%下がったのに対し、深圳の羅湖地区では5%上がるなど地域差がある。首位の香港・尖沙咀も賃料が35%下降した。3位以下の日本や韓国の下降率は比較的小さく、銀座(3位)は5%減、シドニー(4位)9%減、新宿(5位)6%減、韓国・明洞(7位)0%減などとなっている。
C&Wは全世界におけるEC市場の規模が3・9兆ドルであるのに対し、APACは2・5兆ドルと6割以上を占めているとの調査結果を引用し、日用品と高級品の二極化が進むと指摘している。C&Wの須賀勲ヘッド・オブ・リテール・サービスは「コロナ禍でハイストリートの賃料下落が鮮明だが、中国の傷は浅く市場の回復が著しい。欧米の企業が慎重ではあるにせよアジアへの投資を続けてもいる」とコメントしている。(日刊不動産経済通信)
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