インバウンド個人投資家の動向
(提供:Focus&Research)アジアの投資家は、日本の不動産を「割安、高利回り」と認識している。東京の物件の㎡単価は他のアジア各国より1~2割安いので、不動産を購入したくても自国では手が出ない投資家にとって日本の不動産は選択肢になり得る。住宅投資の利回りを当社が管理している物件で比較すると、東京が7.76%、大阪が7.94%と約8%だが、中国本土、香港および台湾はわずか2%前後しかない。もちろん、物件のエリアや大きさ、築年数によって大きく影響されるが、築年数が浅い東京と大阪の中古マンションの表面利回りは3~5%と考えると、日本の利回りはかなり高いと言えよう。
また、最近の円安で、外貨建ての日本の不動産価格はさらに安くなっている。2021年1月から2022年5月の間に日本全国不動産価格指数は11%上昇しているが、外貨建て(香港ドル・台湾ドル・人民元)では8~11%下落しており、今年5月以降、円安はさらに加速しているのでそれ以上に安い状況になっている。米国ではロックダウン解除後の景気回復に伴って高いインフレが生じている。そのインフレ抑制のためFRBは5~7月に利上げを実施、8月のCPIも予想を上回る伸びとなったため利上げを継続すると予想されている。米国以外でも、カナダと欧州は利上げを実施したが、日銀は緩和政策を継続しているため国内外の金利差が拡大し、円売りが加速している。
このようなマクロ環境下で、今年4月既存顧客に行ったアンケートの結果を見ると、40%が今後12カ月以内に物件を売却したい、48%が再度購入したいと回答している。理由は主に、今後のマクロ経済の見通し、個人理由、投資判断が考えられるが、香港の顧客の場合、売却希望に関するコメントでは、「イギリスに移住するため売却で資金を得る」「現在の保有物件は古くなったので高額な修繕費用が発生しないうちに売却したい」「物件価格がかなり上昇したので、日本が利上げをする前に利益を確定したい」という回答があった。購入希望には、「円安なので割安で買いたい」「売却資金の為替差損が発生するので、いったんは日本の不動産に再投資する」との回答があった。
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