ヘルスケアマネジメントパートナーズが都内の介護施設をフォワードコミットで取得


 ヘルスケアマネジメントパートナーズ(HMP)は、東京・江戸川区の介護施設「アズハイム一之江」をフォワードコミットメントで取得した。取得金額は20億円強と見られる。取得先は大和ハウス工業で、開発中の9月に売買契約を結び、2021年1月に決済・引渡しを受けた。オペレーターは、首都圏で20施設の運営実績を持つアズパートナーズ。HMPおよびアズパートナーズの実績が評価され、取得資金の約8割については、HMPが組成する合同会社に対し、新生銀行がシニアローンを、みずほリースがメザニンローンを提供した。


 HMPは、介護施設をフォワードコミットメントで取得することで、開発中の事業リスク、および金融や不動産に係るコストの一部を負担。それにより、開発事業者とオペレーターが負うリスクを低減させ、開発を支援する。
取得した「一之江」(東京都江戸川区西一之江3-8-8)は、敷地面積1845.95㎡、S造地上3階建て、総居室数93室、1室の面積は18㎡。取得にあたっては、竣工前のトラックレコードが無い段階で金融機関からの資金調達に成功。優良オペレーターが決定しており、23区内の立地で新築物件であること、特定施設のため高い稼働率が見込まれることが評価され、入札等による買取価格の高騰を回避した。
 一方、開発事業者である大和ハウス工業は、高齢化による介護施設不足を背景に新規開発を積極的に展開。だが新規開発は、竣工後に売却先が見つからない、適切なオペレーターを見極めるなどの一定のリスクを負っている。竣工前の段階で売却を確定させることで、開発リスクが軽減されるとともに、開発物件の先行きに安定性が担保されるため開発の推進力を後押しする。さらに、オペレーターにとっては、新規施設開発にともなう建築、金融や権利など不動産に関わるリスクを本体から切り離すことができるため、施設運営に特化することができる。プロジェクトにかかわる、開発事業者・AM事業者・オペレーターが、それぞれの得手不得手に応じたリスク・コストを分担することで、トータルのリスク・コスト低減を実現。次回案件以降、開発事業者は要求利回りを下げられるため売却価格が下がる余地が生まれ、結果として、オペレーターの賃料負担軽減も期待できる。
 なお、今回物件を取得したSPCに対して新生銀行が実行したノンリコースローンは、特定の社会課題への対処やその軽減に資する事業、社会的インパクトをもたらす事業に資金使途を限定したローン。HMPが今回の案件だけではなく、ヘルスケアアセットの投資・運用の実績を積み上げ、組織全体の事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献している点を評価した。
 HMPは、同様のスキームを用い、条件が合えば他のオペレーターや開発事業者とも協働していく。加えて、今後は病院不動産についてもフォワードコミット型で取得し、新設や建て替えを後押しする可能性も打ち出している。

2021/3/15 不動産経済ファンドレビュー

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