不動産経済アーカイブ;「あの時はこうだった」東日本大震災②特集 震災後のマーケット動向・賃貸住宅
震災直後の岩手県宮古市ー内閣府防災HPより


被災地の法人移転活発、個人は西へ避難
 ―短期滞在型が飽和状態、外人は国外に


 
 東日本大震災後、被災地である東北地方の太平洋沿岸部から他のエリアへの移転に伴う法人需要の増加や、福島第一原発事故の影響で、関東地方の在住者が西日本へ避難する動きが活発化しており、賃貸市場は特需に沸いている。
 レオパレス21は震災後、法人需要が増加。3月末時点で、法人利用は入居戸数の約42%に当たる約20万2000戸で、震災による入居増が3000戸程度あった。法人需要は、東北地方から茨城県にかけたエリアから、関東、中部、関西、福岡および東北地方内部への移転ニーズが主。約1万4000件の引合いがあり、約7000戸は契約の見込み。「ある企業から、人員を東北から埼玉県へシフトするため、500戸を受注した。さらに数百戸単位で追加注文を受ける」(レオ21)という。またある大手不動産仲介FCでは、宮城県に本社を置く企業が拠点と人員を丸ごと大阪へ移すため、150人分の社員用の住宅を手当てした。
 各賃貸住宅管理会社は、復興支援などで東北での需要増に応える態勢も整えている。レオ21は仙台市、福島県郡山市・いわき市などで震災後一時停止していた入居者募集を再開。アパマンショップネットワークでは、東北地区のメーカーから被災した工場を支援する要員の住居確保のため100戸単位の依頼を受けた。ある住宅メーカー系賃貸管理会社は「被災地に工場や事業所を持つ企業からの人員シフトに伴う物件の問合わせがきており、対応への準備を進める」方針。
 個人の西日本シフトは震災直後から活発化。大阪に本社を置く、短期滞在型マンション運営のアベストコーポレーション(松山みさお社長)は、関東地方の個人からの問い合わせが急増。入居者は「夫を東京に残して母子が入居するケースがほとんど」(同社)。法人の問合せも前年の同じ時期より20%以上増加したが、「既に稼働率が95%以上になり、ほとんど空室がない。まとまった数の提供はできない」状況。契約形態は震災直後にはウィークリーが中心だったが、原発問題の長期化に伴いマンスリー契約に切り替える動きが出始めている。京都市が地盤の賃貸管理会社、長栄(長田修社長)は、120室以上のウィークリー・マンスリータイプの管理住戸について「関東のファミリー層が大挙入居して3月21日の週でほぼ満室になった。放射能漏れのほか、計画停電の実施が忌避されたのではないか」(総務部)としている。
 影響は九州地方にも及ぶ。福岡市地盤の不動産管理会社、三好不動産によると、「震災後、3月末までに関東地方在住者からの問合せが約30件あり、うち5組の入居が決まった」(経営企画部)。九州のマンスリーマンションはワンルームが中心で選択の余地が少なく、5組の入居者はいずれも一般の賃貸住宅に入居。通常の2年間の賃貸借契約を結んでいるという。
 リーマン・ショック後、回復基調だった外国人賃貸需要にも異変が表れた。ケン・コーポレーションによると、同社が管理する東京都心部の外国人向け高級賃貸マンションで「入居者の7割は日本を脱出した」とみる。出国ラッシュは3月13日で、本国のほかシンガポールなどアジアの他の拠点へ移動したものとみられる。特にいち早く避難勧告を出したフランス・ドイツ国籍の離日が多かった。「長期の法人契約であるため現在のところ解約はゼロ」と一時的な避難であるとの認識だが、日本にいつ戻ってくるかは掴めていない。
(2011/04/07 日刊不動産経済通信)

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