シリーズ;東京都の環境政策にどう対応するか EV充電器・太陽光パネル設置義務化へ② マンション充電器のコスト下げる手法 ユアスタンド(下)

EV充電器の設置について様々な動きが出てきている。東京都の小池百合子知事は4月に行われた定例記者会見で、都内で建築物を新築する際に排ガスを出さない電気自動車(EV)などのゼロエミッション車(ZEV)の充電設備の設置を義務化する方針を示した。大規模なビルやマンション以外に、大手住宅メーカーが供給する戸建て住宅も対象としたい考えだが、現状ではマンションにEV充電器を設置するには法律のハードルが高く、海外に比べて日本は普及が遅い状況。EV充電器の現状や今後の見通しなどについて、ユアスタンド株式会社のマーケティング担当、デニス・チア氏に話をきいた。

シリーズ;東京都の環境政策にどう対応するか EV充電器・太陽光パネル設置義務化へ① ユアスタンド(上)より続く

ランニングコストはどれくらいの想定になるか

当社が訴えたいのはEV充電器の設置をコストと考えずに投資と見ていただきたいということだ。30年には新車販売が全てEVになる。そうなると集合住宅に充電器が無ければ、購入でも賃借でも選ばれない状況になってしまう。マンションの資産価値を維持するにはEV充電器が不可欠な時代になる。例えば1時間200円、利用者3名として一人当たり月24時間使用した場合に 1万4400円をアプリで課金する。当社はいったん使用料を受け取った上で、実際に掛った電気代と手数料10%引いた金額を管理組合に戻す。まさに費用でなく投資だ。

それでもお金を出したくない組合もあると思うが

機器の買取りプラン以外に、管理会社向けに充電設備等を無料で提供することで、管理組合の初期費用を一切不要とするサブスクプランも用意している。充電設備は弊社の資産として導入し、弊社が利用者に直接課金し数年かけて回収する。利用者からは1時間あたり100円~課金する。設置の条件は最低4基、設置年数は最低7年間からだ。

東京都のEV充電器設置義務化の方針について

都内の新築住宅について太陽光パネルを設置する義務化が進められようとしている。理由は政府目標を上回る、カーボンハーフを実現しようという小池百合子知事の考えがあるからだ。都の試算では、屋根にパネルを設置すれば日中は自家消費分以上の電力が賄える。一方でその蓄電はどうすればいいかというとそれは家庭が使用するEVを利用するということになる。日中使っていないEVに太陽光で発電した電力を溜めることができるからだ。EV充電器の義務化も新築住宅の太陽光発電設備の義務化に沿って進められるのだと認識している。 

新築マンション分譲業者との協業は

新築時点での機器の導入も数件の実績がある。デベロッパーからの関心も高く、今設計しているマンションにどういう充電器を入れればいいのかといった問合せが頻繁にある。大雑把にいえば充電器設置にはシェアリングモデルと全区画モデルのいずれか、あるいは両方を導入することが考えられる。一例を挙げれば、先日導入した愛知県一宮市のマンション「グランクレア一宮」(中電不動産・日本エスコン)。来客用駐車場にEV充電器を1基、専用区画にコンセントタイプ3基をそれぞれ設置した。課金方法は来客用駐車場が1時間180円でアプリで分単位で従量課金し、コンセントタイプは月額5000円で使い放題という設定だ。新築からなら配線もしやすいし、別に必要な充電機を制御するためのコントローラーの設置も不要だ。 

今後の展望は

そもそも海外だとアメリカ・カリフォルニアや欧州・ノルウェーなどでは住民から要望があれば管理者・所有者は必ず充電器を設置しなければならないという義務がある。まさに住民には充電する権利が与えられているのだ。日本でもマンション管理組合に要望があればどう対応するか、利用負担のありなども含めて対応していかなければならない。

こうしたなか、設置義務化ともなれば当社にとっては追い風だ。太陽光パネルと同様に新築にのみ設置義務化となると、メーカーはモノだけは納品できるが、それを住民が公平に負担できるようなソフトが必要になってくる。そこは当社のユアスタンドアプリが使えるはずだ。恐らく充電器メーカーがソフトウェアを一から作るのは難しい。 

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