トップインタビュー マンション管理の未来 第45回 レーベンコミュニティ社長 保東 實氏(上)

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化という「二つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含むマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、管理戸数の拡大を続けるレーベンコミュニティの保東實社長と宮下幸弘取締役に、重点的に取り組んでいる課題や今後の展望などを聞いた。

新常識で挑むITを活用したシステム 早期に管理戸数10万戸を目指す

代行管理員を各社で融通をしあう仕組みを

――マンション管理事業の現状と課題について。

 保東氏 管理業務の省力化と心の通った組合対応、この二つは相反するように見えるが両立しなければならない。また、組合からの問い合わせの電話対応や管理員の対応などでのヒューマンエラーをなくすこと、加えて新事業への挑戦を課題として取り組んでいる。

 二つの老いという問題があるが、特に小規模マンションにおける財源不足が顕著になっており、住民の高齢化により修繕積立金の増額が難しくなっている。当社はこうした現状を踏まえ、大規模修繕工事という概念にとらわれず現状を見直して予算の中で最善を果たすことを心掛けている。建物によって状況は異なるが、手を付けなければいけない喫緊の修繕工事から取り掛かっているところだ。

 そして、最近顕著になっているのは管理員の不足だ。企業の再雇用制度により人材の確保は難しくなった。また、管理員が2~3時間ほど短時間勤務をする都心のマンションは組合財政のひっ迫によって予算が取れないために人材確保が非常に困難になっている。管理員の多くは高齢者で、時には欠勤があるわけだが、それをフォローするための外注業者に依頼すると賃金が高く当社の収益を圧迫してしまう。対策として一定割合の代行管理員を確保し、マンション管理会社同士で融通をしあう仕組みを将来確立したいと考えている。

――コロナ禍で管理業務はどう変わったか。

 宮下氏 接触機会をなくすという点で理事会はオンラインを積極的に活用した。一方で組合の要望としては対面の会議を望む声が全体の7割あったので、オンラインで会議ができた組合は3割にとどまった。対面で進めたいという希望に沿って審議のやり方を検討した。たとえば資料は早めに配布して意見や質問を事前に集め、審議時間の短縮に努めたほか、参加人数を最小限に絞って実施するなど工夫した。オンラインでの総会開催を1組合に限って実験的に実施したところスムーズにできたので、今後はオンラインの総会開催にも積極的に取り組みたい。

 組合の了解を得た上で管理員の発声を伴う挨拶はやめて会釈へと変更したり、管理員室の窓越しでお客様と会話するという方法で飛沫感染を予防している。また、点検はなるべく居住者宅に入らず外部から試験機などを使用する方法で実施した。お客様との接触機会を減らすことが感染予防につながると考え、今後は自宅であらゆるサービスが受けられるシステムの開発が急務であると感じている。

清掃以外の業務はスマートフォンで

――ベトナムでの事業展開について。

 保東氏 19年12月にレーベンコミュニティベトナムを設立した。タカラレーベンとフジタの合弁会社がベトナムのハイフィン市で建設する複合型分譲マンションの管理を当社が担う。収益目線で見ると非常に厳しく、日本人スタッフを現地に配置して業務を行うのは難しいため現地企業とタイアップし業務を任せる考えだ。今後、収益性を見込める事業を創出する目的で当社とタカラレーベン、現地企業の共同出資で新会社を立ち上げ、事業機会を探る方針だ。

 ベトナムでの事業はできれば現地の優良企業を買収して展開するのが得策だと考えている。こうした事業を通して当社が4年前から受け入れているベトナム人実習生の人材交流を活発にしたい。将来的には管理員を補っていきたい。

――グループで実施したコンテスト「新常識開発プロジェクト」でITを活用したマンション管理が優勝した。どのようなサービスを考えたのか。

 保東氏 タカラレーベングループ創立50周年を迎える22年9月に向けて、「ライフスタイルに新常識を」というスローガンを打ち立て、それを具現化するためのアイデアを出し合う目的で新常識開発プロジェクトを実施した。10のグループ会社が参加し、約40の企画が出た中で最終選考を勝ち抜いたのが当社のスマートフォンを利用した管理システムだ。

 宮下氏 管理員不足とヒューマンエラーの防止という観点からスマートフォンを活用したシステムを開発した。人がやる仕事とシステムがやる仕事を完全に分け、システムができることはスマートフォンに凝縮するという発想で開発を進めている。たとえば駐車場や共用施設の予約は現地の管理員の勤務時間や当社の営業時間内でないと受付ができなかったが、スマホで24時間申し込みができるようにし、管理員とも情報が共有できるようにする。また、台風の襲来による注意喚起など緊急性が高い情報を居住者に通知できる仕組みも取り入れる考えだ。

 紙資料はスマホにデータとして送ることができるので、当社の目標としてはスマホを片手に総会ができるとよいと考えている。スマホの画面を見ながらLINEでつなげばインターネット環境が整っていない居住者が会議に参加できる。現在、試験的にお客様に使用してもらっており、今後、意見を集めて実用にこぎつけたい。最短で今年10月頃までに新システムを発表したい。

 管理業務で人件費が最も高い割合を占めるので、管理員の勤務時間を短くし、清掃以外の業務はスマートフォンでできるようにしたいと考えている。組合にとっても経費削減になり、削減した分を修繕積立金に回してもらえればよい。(マンション管理の未来 第45回 レーベンコミュニティ社長 保東 實氏(下)に続く)

 月刊マンションタイムズ 2021年2月号

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