立岩・国土交通省マンション政策室長インタビュー 改正法施行へ仕込みの1年 2法改正の好循環形成へ周知(上)

 2021年は、昨年改正されたマンション管理適正化法とマンション建替円滑化法が2022年度から施行される上での枠組みを整備する重要な1年になる。改正法により自治体や管理組合などで取り組むべき内容も増える中、基本方針や管理計画認定制度の認定基準などの策定に取り組む国土交通省はどう意識しているのか。立岩里生太・住宅局市街地建築課マンション政策室長にどのような1年にしていくか、考えを聞いた。

 

年度内に制度を一覧できる
ポータルサイト整備


――改正マンション管理適正化法の2022年4月施行が見込まれる中で、2021年は施行に向けどう取り組むか。
 立岩氏 昨年の法改正では、マンション管理に対して行政がこれまで以上に関与する仕組みが整備された。今年はその円滑な施行に向けて非常に重要な仕込みの1年になると考えている。
 このため、国では昨年から「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」を設け、基本方針の策定や管理計画認定制度の認定基準の作成などの準備を着実に進めている。それらが絵に描いた餅にならないよう、新しい制度の運用を現場で担う関係者の方々と不断にやり取りを重ねていくことが大切だと思っている。改正法の対応だけでなく、IT総会の開催といった新型コロナウイルスも踏まえたマンション管理に関するデジタル化への環境整備などを進めていくことも必要とみている。
 もちろん仕込みの1年とはいいながらも、マンションをめぐる課題は常に山積しているので、できることからスピード感をもって果敢に出かけていきたい。

――今年3月には基本方針や適正化指針の方向性が固まってくる。自治体や管理組合、管理会社などの関係者にどう周知・浸透させていくか。
 立岩氏 国でも地方公共団体に出向いて説明する機会をいただいたり、管理組合や管理会社の団体を通じたりして、周知・浸透をはかりたい。これまでも政令市や東京23区などと意見交換をする中で気づかされた点も多々あり、基本方針の内容など施策にも反映させていく。ほかの自治体からも意見を伺っていきたいので、来てほしい、言いたいことがある、という地方公共団体や関係団体の方々は遠慮なく連絡いただきたい。
 合わせて、改正法を広めていくツールとしてリーフレットやポータルサイトを用意する予定だ。ポータルサイトは改正法の内容やQ&Aのほか、法令や管理、修繕などに関する各種ガイドライン、解説動画などを一元的に閲覧できるようにし、今年度内にもスタートさせる。
 また、BS朝日が毎週金曜日18時から、生活に身近な課題についての各省庁の取り組みを紹介する「霞が関情報チェック」という番組を放送しており、1月8日の放送ではマンション政策が取り上げられるなど注目も高まっている。メディアも含め広く周知したい。
 一方で、「マンションは地域や市場の中にある」という点にも留意しておかなければならない。このため、マンション管理を直接になっている方々だけではなく、地域づくりやマンションの流通に携わる方々にも管理計画認定制度などを周知・浸透させていくことが重要だと考えている。マンションが周辺に及ぼしかねない外部不経済の防止や、適正な管理の市場評価への反映といった観点から、行政分野による縦割りを排するとともに、不動産流通業者や町内会、不動産鑑定業者などこれまで以上に様々な関係者に働き掛けていきたい。

認定制度の運用へ管理士が連携する仕組み構築


――管理組合運営をサポートする立場の管理会社やマンション管理士に求めることは。また、管理組合で専門家の活用が進むための方策は。
 立岩氏 新しい制度の実効性を高まるためには、管理会社やマンション管理士の方々が非常に重要な役割を果たすと考えている。特に管理計画認定制度については、申請する管理組合と認定する地方公共団体の双方にとって、専門家のサポートがあると大変助かる。このため、マンション管理センターなどと一緒になって、専門家の方々に協力いただける仕組みを構築していくつもりだ。具体的には、認定に関わるマンション管理士をサポートできるよう、マンション管理センターが管理士をネットワークするようなことをイメージしている。
 また、改正法の施行を予定している2022年4月と同じタイミングで、マンション管理業協会がマンション管理適正評価制度をスタートさせる予定と伺っている。日本マンション管理士会連合会でもマンション管理適正化診断サービスに取り組んでおり、こうした制度との連携が図れるよう取り組んでいく。
 こうした取り組みとあわせ、新制度の周知・浸透はもとより、マンションを適正に維持管理することへのインセンティブを作り出していくことも大事だ。このことも今年1年の仕込みの中で大きな課題と認識している。そのインセンティブは、現世利益的なものだけでなく、SDGsの達成にも寄与していけるのではないかとも考えている。まだ個人的な考えの域を出ないが、優良なマンションが適正に管理されて長く使われていくことで、エネルギー消費量の抑制、ひいては持続可能な都市の実現にもなり得る。適正な管理への取り組みがそうした評価につながるのも考えられていいのではないか。

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月刊マンションタイムズ 2021年1月号

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