戸建て住宅意匠権訴訟で初の勝訴判決―アールシーコア、消費者保護でも前進

 アールシーコアは、同社のBESSブランドの木造戸建て企画住宅モデル「ワンダーデバイス」と外観が酷似した商品を販売しているとして、販売差し止めなどを求め鳥取市の住宅事業社(以下被告)を相手取り提訴していた件で、このほど勝訴した。住宅デザインの意匠権では初の事例で、住宅事業社、消費者双方に資する判決となった。
 今年4月の意匠法改正で建築物(不動産)も保護対象となり、先立って認められていた「組立家屋」とともに、意匠権の適用がなされることになった。しかし判例では、店舗デザインは認められた事例があるものの、戸建て住宅ではなかった。市場全体で浸透しておらず模倣が多発し、業界全体の課題となってきた。

 ワンダーデバイスは組立家屋として17年に登録されており、18年8月に東京地裁に提訴、このほど勝訴した。対象は3棟で、被告は判決を受け販売・居住済みの2棟の一部を改装し、外観上で最も類似する構造物を撤去、1棟は判決前に同様の改装をして販売していた。本件は、最初にBESS住宅の顧客が発見しアールシーコアに通報、自身の住宅のブランド保護の観点などから顧客たちが同社に積極的な対応を求めていた経緯がある。同社のアンケート調査結果では、購入を決めた理由の1位が「商品(外観)が気に入った」と判明していることも加わり、同社も顧客とブランド保護の両方の観点から重くみて提訴していた。


 

(ワンダーデバイスには数種類のデザインのモデルがあり、上記写真の正面の十字柱・梁がアールシーコアの意匠登録)

勝訴を受け同社は、誤認混同の回避による消費者保護と、業界全体でのデザイン性を重視した商品展開の加速、消費者側のデザインに関する選択肢の広がりが進むとしている。
2020/12/04 日刊不動産経済通信

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