マンション管理の未来 第43回 東京建物アメニティサポート社長 栄田 聡氏(下)

 マンション管理の未来 第43回 東京建物アメニティサポート社長 栄田 聡氏(上)より続く

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化という「二つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含むマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、複合型再開発の管理にも強みを発揮する東京建物アメニティサポートの栄田聡社長に、重点的に取り組んでいる課題や今後の展望などを聞いた。栄田社長は20年4月1日付で就任した。

組合理事へのアンケート、関係強化に生かす

 ―差別化についてはどう取り組むか。
 栄田氏 PDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)を繰り返していくことで力を蓄えていく。管理組合の理事とのコミュニケーションや関係性を強化する目的で年2回アンケートを実施している。理事になって半年あるいは1年経った時に、管理会社の提案について満足度や問題点をヒアリングし、項目別にまとめている。アンケートでいただいた回答を業務に生かしていくのは苦労もあるが、第三者機関によるアンケート調査を見ても当社に対する満足度は高まっており、このアンケートの取り組みが評価を受けていることが分かった。「管理組合の理事を来年もやりたい」という声もいただいており、組合と当社の関係強化に効果を感じている。アンケートで得た回答を地道に愚直に業務に生かしているのは当社の特徴の一つだ。
 また、大規模修繕工事までの間に管理組合の合意形成がスムーズに行えるように、建物観察会という建物の劣化状況を共有する取り組みを行ったり、フロント社員向けに修繕技術の研修を行ったり資格試験を受験してもらったりしている。これらの取り組みにより管理組合への提案力の向上を目指す。
 さらに今年はセルフマネジメント研修をフロント社員向けに実施する方針だ。管理組合と接していて、時には厳しいご意見をいただいたく経験をする場面もあり、そうした時にどのようにフロント社員がきちんと受け止められるよう、スキルを身に付けた方が良いと考えた。管理組合の役員は多くがフロント社員よりも年齢層が高く、ましてやフィーをいただいているお客様であるわけだから、当社フロント社員は誠意をもって対応しなければならない。お客様からいただいた意見を調整して、一つの方向にもっていくためのスキルを持つ社員を育てたい。マンションの課題に対して前向きな提案をして、それが管理組合に受け入れられて、マンションが良くなるという成功体験を作ってほしい。この研修が助けになればよいと思う。

 ―再開発案件の管理受託が続いている。
 栄田氏 東京建物が開発に関わった再開発事業はタワーマンションや複合用途の建物が多い。今年3月に竣工した「ブリリアタワー高崎アルファレジデンシア」(総戸数222戸)もその一つだ。また、管理組合と接点を持ちながら建替えに向けて果たせる役割が当社にはあるだろうと思うので、グループの一員として協働していきたい。

 ―政策要望や今後の管理業界の見通しについて。
 栄田氏 第三者管理については国、行政、業界団体の足並みがそろい、議論が進むことを願っている。多くの事例が生まれ、ひな形ができてくると具体的な議論も進むのではないか。


 マンション管理の評価制度が2022年4月に導入されるが誠に時宜にかなったものであると認識している。マンション管理の質の部分にメスが入るのは歴史的な転換点だ。これをやることによって管理会社と管理組合の共通の目標ができて、そこに向かっていける。質を高めるためにやるべきことについて、議論が加速していくのではないか。
 労働人口の減少、マンション老朽化、居住者の高齢化について、管理会社の果たす役割の大きさを実感している。コロナの影響もあり、圧倒的に安いコストと最低限のサービスが喜ばれるケースも出てくるだろう。年金生活者が居住者となるシニアマンションに対しての管理はどうあるべきなのか、こうしたマンションの施設計画はどうあるべきかについても考えていく必要がある。減少する労働力に対応したマンション管理について、管理会社から出せるノウハウはあるだろうと思う。また今後も自然災害リスクは続くだろう。管理会社として効果的な消防・防災訓練をどう実施し、日常のコミュニティを育んでいくか。当社では自然災害対策委員会という組織を設けた。社内で検討を深めていきたい。

栄田 聡(えいだ・さとし)氏
1964年3月14日生まれ。神奈川県出身。1986年3月一橋大学商学部卒業後、東京建物㈱入社、ビル営業部配属。1999年4月東京建物不動産販売㈱出向、法人営業部配属の後、札幌支店や本社企画部を経て、2009年1月コンプライアンス部長、2011年3月ビル企画部長。2012年3月㈱東京リアルティ・インベストメント・マネジメント出向取締役財務部長、2017年4月東京建物㈱関西支店長兼関西住宅事業部長、2018年1月同社執行役員(現在)、2020年3月㈱東京建物アメニティサポート代表取締役社長(現在)。

マンションタイムズ 2020年1月号

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