金融緩和に支えられ投資家の市況の見方が改善ー日本不動産研究所の調査結果から
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 日本不動産研究所は、第43回「不動産投資家調査」の調査結果をまとめた。2020年10月1日時点。新型コロナやそれを受けた新状態(ニューノーマル)の影響が鮮明となった。新型コロナ禍前までは、利回りの低下傾向が続いていたオフィスや住宅の期待利回りは、一部の調査地区で前回比0.1ポイント(p)低下したが、全体としては横ばいの地区が多くを占めた。一方、施設需要が伸びている物流施設は、「東京」を含む多くの地区で期待利回りが0.1~0.2p低下。宿泊特化型ホテルは東京、札幌、福岡、那覇で0.1p上昇した。
今後1年間の投資に対する考えは「新規投資を積極的に行う」が92%と前回(2020年4月時点)と比べて6p上昇。一時的に落ちた投資姿勢も回復を見せている。


 同調査は日本不動研が1999年4月以降、年2回行う不動産投資家調査。アセット・マネージャー、アレンジャー、デベロッパー、生保、レンダー、投資銀行、年金基金など191社にアンケートし、145社から回答を得た。不動産投資家のAクラスビルの期待利回りは、東京のオフィスは、最も代表的な調査地区である「丸の内、大手町」は前回と同じ3.5%で7期連続の横ばい。東京と主な政令指定都市を含め、ほとんどが横ばいだったが、東京では「虎ノ門」が3.7%、「大阪梅田」が4.4%、「福岡」が4.8%でそれぞれ0.1p低下した。
賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)の期待利回りも、多くの地区で前回比横ばい。東京「城東」地区と「福岡」が0.1p低下した。商業店舗は、都心型高級専門店は「銀座」が3.5%と0.1p上昇。郊外型ショッピングセンターはすべてのエリアで横ばいとなり「投資家の慎重、様子見の姿勢が垣間見える」(愼明宏研究部兼国際部次長)。

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 一方、物流施設・倉庫(マルチテナント型)の期待利回りは「東京(江東区)」「大阪(大阪港)」「福岡(博多港)」で0.1~0.2p低下。「ニューノーマルによって再び高く評価される傾向にある」(愼氏)とし、全体として投資意欲が現れる結果となった。宿泊特化型ホテルは、東京、札幌、福岡、那覇で0.1p上昇した。
不動産への新規投資意欲なども聞いており、不動産投資家の今後1年間の投資に対する考え方は「新規投資を積極的に行う」が6p上昇の92%まで回復。「当面。新規投資を控える」の回答は11%で、7p低下。金融緩和に支えられ投資家の市況の見方が改善している結果となった。
 マーケットサイクル(市況感)については、東京、大阪のいずれも、現在が「ピーク」、半年後について「ピークを過ぎ、減退局面」とする回答が最も多かった。

 2020/12/5 不動産経済ファンドレビュー

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