住宅各社、中高級戸建注文住宅が堅調―高付加価値の「都市型住宅」を強化
大和ハウス工業「スカイエスリー」

 大手ハウスメーカー各社は今年度下期に、中高級路線の戸建て住宅市場が堅調な動きになる見通しだ。テレワークを始めとしたニューノーマルな暮らしの需要に支えられ、ウェブ発信の強化などによる新たな訴求方法も確立されてきた。
 各社とも緊急事態宣言下の営業自粛などが響いたことに加え、中高級路線の戸建て注文住宅市場には分譲戸建てや建売住宅のような目立った駆け込み需要もなかったため上期の累計は前年割れが多い。コロナ蔓延前の通期業績予想を下方修正した積水ハウスは、21年1月期の下落分の回復は、現在の中期経営計画(23年1月期まで)単位での取り組みになると見込むが最終年度の売上高2兆7000万円、営業利益2200億円の目標は堅持する。営業面でテレビ会議やVRの活用スキルが全社的に向上し、初開催したオンラインでの大規模見学会もうまくいったことなどから戸建て注文住宅の8月の受注棟数は前年同月比16%増を達成。巣ごもり需要が高付加価値型商品の展開に追い風となり、下期以降は下落分を補っていけるとみる。
 上期(20年12月期第2四半期)に大手の中で最も販売状況が良かった住友林業は、4月から10月の戸建て注文住宅の累計の受注状況が前年同期比5%増と伸びたほか、金額ベース(4~9月累計)でも7・1%伸長。10月も11%増と増加し、受注単価は4月以降最高の水準となった。要因の一つにウェブ上での資料請求に起因した受注があり、資料請求自体も前年同期を超え、住宅展示場の集客減を補っている。8月に開設したホームページ上のコンテンツ「マイホームパーク」は講師が登壇する「住まいの学校」や実際の生活の様子を紹介する「実例“ライブ”ラリー」など10項目からなり、期間限定公開の予定だったが、反響が良かったことから常設化した。コロナ下でも引き続き高いZEH住宅需要、ワークスペース需要も受注単価向上に貢献している。
 商品開発では、高付加価値の「都市型住宅」を各社とも重視。大和ハウス工業は重量S造3階建ての戸建て注文住宅「スカイエスリー」を9月に発売したばかりだが、「早くも反響が良く、当初の予想より契約残も順調」とする。ニューノーマル需要を牽引するテレワークは、大東建託賃貸未来研究所の調査によると、地域別の普及率は東京都が4割近くだが、首都圏と東名阪以外の地方は2割以下と大きな開きがある。スカイエスリーの例からも最新の需要に応え、狭小地対応も可能な都市型住宅が牽引する見込み。住宅生産団体連合会の7~9月の経営者の景況感調査では大手15社中、昨年より2社多い5社が「新商品開発を増やす」と回答。「減らす」は0。各社はニューノーマルに適した新商品をすでに投入したが、引き続き強化する。
 このほか、米国の戸建て住宅市場が堅調だ。米国を主軸にしている住友林業は「コロナ禍で打撃を被っているが、それを上回る需要がある」と手応えを得ている。同社の4~12月の受注棟数予想は前年同期比10・6%増の7187戸。要因は日本と同様、テレワークの普及と在宅時間の長期化に伴うワークスペースを始めとした新しい住宅需要。加えて、住宅設備の向上も住宅購買意欲の一つ。大手住設のTOTOの業績にも反映されており、同社の21年3月期第2四半期の米国ウォシュレット事業の売上高は前年同期比23%増で、第3四半期は2・6倍の伸長を見込む。日本と比べウォシュレットの普及率はこれまで低かったが、一次取得者層も含め一気に普及が進んでいる。

2020/11/26 日刊不動産経済通信

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