(提供:不動産経済ファンドレビュー)日本GLPが冷凍・冷蔵マーケットの現状と今後の見通しを公表した。同社では現在、開発中の物件も含め29棟の冷凍冷蔵施設を保有しており、総面積は約10万6000坪で、業界第5位相当に及ぶ。常温の物流施設では、冷凍や冷蔵に対応するための設備投資は、テナントが負担しなければならない。さらに、退去する際は元の常温施設へ原状回復工事を行う義務も生じる。このような負担ができるテナントは、大手食品会社の子会社など数社に限られる。そのため同社では今後、冷凍・冷蔵に対応したマルチ型物流施設を開発することでテナント側の費用低減を図り、需要を取り込みたいとしている。
コロナ禍を境に家庭用冷凍食品の需要が急増し、冷凍冷蔵物流施設の需要は非常に高まっている。一方で、既存施設は満室であり、その需要を満たせていない。同社でも既存施設の稼働率は99%で、入居するテナントの継続利用意向も96%と高い水準を維持する。同社は、冷凍冷蔵に対応したマルチ型物流施設を“保管型”、“流通型”、“後付け型”の3つに分類。その中でも流通型は、小規模区画に分割することも可能で、同社が開発中の「GLP神戸住吉浜」(兵庫県神戸市東灘区住吉浜町19-24)は、1000坪単位からの利用にも対応している。テナントは、回転の速い家庭用冷凍食品を扱う小規模物流会社や、冷凍も冷蔵も必要な食品メーカーがターゲットとなる。立地適正では、保管型が外国貨物の検疫などに対応するため湾岸エリアに集中する一方、流通型と後付け型は、回転の速い荷物に対応するため、従来とは異なる内陸エリアにも展開する。
現在、建築コストや燃料費の高騰は、賃料にも大きく影響を与えている。冷凍冷蔵施設は、常温施設の2倍の額の投資が必要であるが、同社によれば賃料に全てを転嫁することは難しいという。だが、既存の冷凍冷蔵施設では、アスベストやフロンを使用している築古の物件もあり、建替えニーズなど一定規模の取込みを狙うと見られる。同社の松脇隆常務執行役員は、「築年数が経過した施設を利用する企業では、新たな入居施設を求める声もあり、賃料単価が若干高くても入居するテナントはある」としている。すでに5物件の開発が予定されているなど、今後も東名阪を中心に需要の高いエリアで施設開発を拡大していく考えだ。
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