(提供:日刊不動産経済通信)三井不動産レジデンシャルが新築マンションの購入を考える若年層への営業展開を強めている。首都圏で20~30歳代が主力顧客になるなどユーザーの若返りが進み、その多くが物件選びに時間を割けない共働き世帯であることなどから、販売拠点でのVR活用や電子契約の部分導入、日曜定休の試行など、需給両側にメリットがある複数の施策で販売を合理化。販売センターに足を運ぶ前に情報収集や商談などを終え、一度の来場で申し込みを済ませられるような体制を目指す。
首都圏で同社が売る販売価格1・5億円未満のマンションの契約者は20~30歳代が51%、40歳代が21%、50歳代が14%などと若年層が存在感を増す。物件購入にかかる時間と手間を減らしたいとの需要が高まっているという。このため物件の情報集めや商談、申し込みなどで複数回の来場を求める従来の様式が支持されにくくなったと分析。オンライン活用を軸とする販売合理化に舵を切った。6月には東京・豊島区東池袋に「三井のすまい池袋サロン」を稼働させ、バーチャルとリアルを掛け合わせた見せ方で拡販を狙う。
自社職員にも女性や共働きが増え、同社独自の取り組みとして販売拠点の日曜定休を試行している。21年に都心の4物件で水曜と日曜、22年に3物件で日曜と月曜に販売拠点を定休とした。昨年は1期販売の時期は例外的に稼働し、契約への悪影響が認められなかったことから、24年度は導入件数などを増やす。
4月にはITやAIなどの技術活用を主導する専門部署を新設し、一般営業社員へのデジタル研修なども手掛けている。同社の﨑山隆央取締役執行役員は「多様な働き方、多様な売り方に対応していくには自社の社員も多様であることが必要だ」と強調している。