「全国マンション市場・50年史」を発表 ―本社、半世紀で平均価格は4・7倍に

(提供:日刊不動産経済通信)不動産経済研究所は14日、資料集発刊に伴い「全国マンション市場・50年史―上昇する価格 多様化するニーズ―」を発表した。調査対象は1973年から2022年までの50年間に全国で発売された3階建て以上の民間分譲マンション。列島改造ブームに始まり、バブル期の地価狂乱と崩壊後の資産デフレ、新マンション時代(大量供給)の後のリーマンショック、異次元の金融緩和がもたらした再開発ラッシュと、激動の50年におけるマンション市場を振り返った。

50年間に発売された民間分譲マンションの累積供給戸数は545万7096戸。73年から22年末の累積着工戸数が約740万戸であることから、全国ストックの約74%をカバーしていることが分かる。

首都圏、近畿圏及び主要都市における供給戸数は以下の通り。▽首都圏259万79戸▽近畿圏127万6251戸▽札幌市16万9146戸▽仙台市8万198戸▽名古屋市18万6151戸▽広島市8万3339戸▽福岡市20万546戸。全国の供給戸数に対するシェアは首都圏47・5%、近畿圏は23・4%。

73年の調査開始時には全国で年間9万3778戸であった供給は、最多となった94年の18万8343戸を経て、22年には7万2967戸となっている。首都圏は3万7382戸(全国シェア39・9%)から2万9569戸(同40・5%)と、約20%減少している(最多は2000年の9万5635戸)。首都圏のシェアは75年から83年まで5割を維持したものの、その後50%を下回り、バブル期の90年には28・7%にまで低下した。再びシェア5割を回復したのは99年で、05年まで5割台を維持した。06年に47・8%と再度4割台にダウンすると、その後は10~11年、13~15年以外はいずれも4割台にとどまっている。

10年ごとの全国における供給戸数は、73年から82年が83万3865戸(首都圏43万4888戸、シェア52・2%)、83年から92年が100万9637戸(39万992戸、38・7%)、93年から02年が161万6953戸(78万8897戸、48・8%)、03年から12年が121万4367戸(60万2989戸、49・7%)、13年から22年が78万2274戸(37万2313戸、47・6%)。83年から92年の首都圏はシェア4割を切るまでに落ち込んだものの、93年以降は5割弱に回復している。

73年の平均価格は全国1086万円、首都圏1171万円、近畿圏1000万円で、22年にはそれぞれ5121万円(4・7倍)、6288万円(5・4倍)、4635万円(4・6倍)となった。また73年年間の発売総額は1兆184億円であったが、22年は約3・7倍の3兆7369億円に増加している。

面積をみると、首都圏の専有面積は55・56㎡から66・12㎡に拡大(119・0%)、都区部でも42・01㎡から63・96㎡に拡大(152・2%)している。また首都圏における50年間の総敷地面積は9365万6887・6㎡、総建築延面積は2億2938万3269・8㎡となっている。

73年と22年の売主・事業主別供給ランキング(全国、上位20社)を比較すると、73年の上位20社のうち22年にもランク入りしているデベロッパーは三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの2社のみで、6割超の企業はマンション事業から撤退している。

なお『全国マンション市場・50年史』はまもなく発売の予定。CD-ROM(エクセル)版で価格8万8000円(税込)。問い合わせ先は不動産経済研究所調査部門で、電話03―3225―5301、Eメールアドレスはinfo@fudousankeizai.co.jpまで。

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