シリーズ;事故物件を歩く④ ー特殊清掃事業者の倉庫から(上)
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 シリーズ;事故物件を歩く③より続く

自殺や孤独死などが発生した住戸を第三者へ売買、あるいは賃借させる前に、残された入居者の荷物(遺品)の整理や、死体などの臭いを消すための「特殊清掃」を行うことが一般的だ。今回は、遺品整理と特殊清掃の業務をセットで行っている、埼玉県内の事業者を訪ねた。 

事故物件から搬出された酒瓶や調味料(さいたま市岩槻区の倉庫)

 訪れた場所は、東北自動車道の岩槻インターチェンジに近い、倉庫や物流施設が立ち並ぶ一帯だ。150平米ほどの広さの平屋建ての倉庫内には、事故物件から出た遺品などで山のように埋め尽くされている。「これで6部屋分ぐらいかな。だいぶ整理できたんですよ」とは、遺品整理と特殊清掃を行っている、株式会社ふうせんの風(さいたま市岩槻区)の伊藤憲正(いとう・のりまさ)社長。本業は中古品の買取専門ビジネスで、特殊清掃については新規事業として立ち上げたという。事故物件における清掃の実態を探るとともに、事故物件の最近の傾向について聞いた。

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―「ふうせんの風」という会社について

伊藤氏 平成28年に設立して来年で5期目に入る。特殊清掃や遺品整理を主に行っている。事業を立ち上げる前は中古品の買取り専門店の社員(スーパーバイザー)だった。この買取り専門店の名称は「金のクマ」で、埼玉県久喜市を拠点に全国10店舗で展開している。買い取る中古品は様々で、故人の遺品を持ちこむ人が目立つようになった。遺品をどう処理すればいいか困っている人が増えている。それならば遺品整理を専門でやろうと考えた。そして遺品整理の仕事をやっているうちに、ついてくるのが特殊清掃であることがわかった。超高齢化社会を迎えて、同時に一人で亡くなる人が増えている。この分野をより深く掘り下げていこうと、新会社として立ち上げたのが設立の経緯だ。特殊清掃だけだと遺品はゴミとして処理されるケースが大と思うが、当社は遺品を整理した上で、品物の査定を行える。無駄なゴミは出さない主義だ。

-営業活動はどのように行っているのか

伊藤氏 当初は高齢者施設へ営業を掛けていたが、いまお付き合いがあるのは不動産関係と葬儀業者が大半だ。不動産だとアパートのオーナーから直接の依頼もあれば、管理会社からの問い合わせもあり、主な取引先は不動産関係だけで4、5社ある。 オーナーはアパート経営の個人が多い。ホームページに直接問い合わせがくる。葬儀関係のルートだと、孤独死として発見されて葬儀屋で葬儀を行った後に 遺族の方からの依頼という流れだ。埼玉県内の複数の葬儀業者から継続的に受注している。 

取材に応える ふうせんの風・伊藤社長

―最近の事故物件の傾向について

伊藤氏 死因別でみると自殺が増えているように感じる。それと年齢が下がっている。これまで事故物件というと亡くなったのは多くが高齢者だった。ところが最近、ここ3、4年の傾向としては40-50代 の孤独死や自殺が増えている。自殺案件についてはより若い人自殺が肌感覚で増えていると感じている。社会の変化がそういうところに表れているのではないか。自殺も死因不明死も、原因は何かしらの病気が多いのではないか。ここでいう病気というのは心理的なもの、鬱などだ。清掃の現場で遺品を整理していると、そういう薬だとか、医師の診断書が出てくるケースが多い。

―年間の案件数は

伊藤氏 今年は特殊清掃と遺品整理の合算で40件ほど。このうち半分は特殊清掃の案件だ。当社が扱う特殊清掃の案件で一番多いのが原因不明の死亡。死因がわからないというのが多い。次に多いのが病気。3番目が自殺だ。それをスタッフ2~5名で現場へ派遣する。特殊清掃案件について依頼主別でみると、不動産会社からの受注が最も多い。

―特殊清掃に掛る費用はいくらぐらいか

伊藤氏 現場によってまちまちだ。特殊清掃とは除菌、消臭、体液除去のために、床材やクロスの剥がしといった、臭いを消す作業だ。特殊清掃で中身が軽いものは8万円で行ったものもあるし、汚れが激しい、壮絶な現場だと50万円ぐらいにはなる。8万円の案件というのは、残置物が無く、臭いが少なくて、トイレに少し体液が付着していたとかその程度の案件の場合だ。死因が熱中症、発見時期が3日後とかであれば、汚れも臭いも少ない。価格の開きは相当ある。これらの金額は特殊清掃だけの施工金額で、それに加えてゴミや遺品などがある場合はその処理代などが別途必要となる。

シリーズ;事故物件を歩く⑤へ続く

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