(提供:日刊不動産経済通信)不動産協会はこのほど開いた理事会で23年度の事業計画を決めた。理事会後の記者懇談会で菰田正信理事長(三井不動産社長)は、高止まりが続く建築費について「さらに上がれば住宅の工事に着手できず供給が減る可能性もある」と懸念を表明。国土交通省の有識者会議で、請負契約を結んだ後に資材価格の上昇分を反映する案が出ていることについては「(価格上昇の)リスクも込みでの請負契約だ。着工後に費用が上がるとなれば中小企業なら社の存続が危うくなり、個人なら破産の危険がある」と述べ、民間同士の契約を一律に縛るのは現実的でないとの認識を改めて強調した。
菰田理事長は、建設業の商慣習などを是正することに主眼を置く国の「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の協議内容について、「建設業の重層下請け構造に問題があることは国交省も認識している」と指摘。契約締結後の物価スライドを規定する議論については「発注後に費用が上がるのは発注者に大変な不利益になる」と見解を語り、「どうしても必要なら案件ごとに受発注で協議し、是々非々で追加負担を決めていくことが重要だ」と主張した。
本年度の事業計画では、特に環境対応について「顧客の共感、経済合理性、社会課題解決の同時達成が不可欠だ」と強調。計画には▽再エネにおける手法別の促進支援▽まちづくりGX推進の取り組み支援▽物価高騰など課題への対応▽耐震性に劣る高経年マンションの建て替え促進▽住宅ニーズ多様化への対応―などを記載した。このほか、オープンハウス・ディベロップメント(東京・千代田区)と日本郵政不動産(同)が4月1日付で入会することも報告された。
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