(提供:日刊不動産経済通信)北海道・ニセコで半世紀以上リゾート事業を手掛ける東急不動産は5日、官民のインフラ整備や外資らのホテル建設が加速する町の様子を報道陣に公開した。同日午後には倶知安町内で会見し、町とともに施設整備や集客促進を図る内容の包括連携協定を締結。その席で同社の田中辰明取締役常務は「ニセコは伸びしろが大きく低利用の土地もある」と述べ、来春から改修を始める「ホテルニセコアルペン」の他にも現地で宿泊施設などの開発を視野に入れていることを明かした。
11日に入国者数の上限などが撤廃されるのを前に、ニセコ、倶知安、蘭越の3町を合わせたニセコ圏では観光復活への期待が高まる。30年度に北海道新幹線が延伸すれば東京と5時間前後での行き来が可能にもなる。官民の新駅整備やホテル開発が急ピッチで進む。
そうした好機をとらえ、東急不動産と倶知安町は冬だけでなく夏場にも国内外から人を呼べる「通年型国際リゾート」の実現を目指す。その一環で自転車コースの整備などを始めている。集客メニューの多様化で雇用を安定させる狙いだ。連携協定にはニセコひらふ地区を集客の核と位置付け、観光地のデジタル化や交通拡充などで圏域を盛り上げる方向性を示した。
コロナ禍はニセコの観光業界に大きな打撃を与えた。竣工したホテルが開業を保留する事例が目立つ。だが円安も追い風となり外資らによるホテルコンドミニアムの開発攻勢は引いていない。地元企業が主に手掛ける住戸の売買も活発だ。8月に部分開業した「雪ニセコ」(190室)では外国人と日本人の宿泊予約が半々程度に戻った。販売住戸の坪単価は約590万~660万円だが購入の引き合いが強いという。