22年度税制改正の焦点となっている住宅ローン減税制度の見直し議論が本格スタートした。11月30日、自民党税制調査会は小委員会を開催。議題で住宅ローン減税を取り上げた。控除率の1%からの引き下げについて、住宅政策を所管する国土交通省は、一律0・7%及び最大控除額の相場維持のため「控除期間を少なくとも15年」とすることを求める。また、国交省は2050年カーボンニュートラル実現のため、24年から住宅ローン減税にも省エネ基準を要件化する方針。
国交省は来年度税制改正の住宅ローン減税の方向性として、少なくとも約10年前から継続している「一般住宅400万円・優良住宅500万円」を最大控除額の相場として、この堅持を求める。会計検査院からの低金利下での逆ザヤ指摘は、一律0・7%で不必要な借り入れを抑制できると試算。同時に控除期間を「少なくとも15年」、借入限度額4000万円以上を確保すれば、1年当たりの控除額は減少しても、支援レベルを維持したまま幅広い世帯が恩恵を受ける公平な制度となるとの考え。
税調小委では、住宅ローン減税の見直しについて出席議員から多数の声があがった。自民党国土交通部会の小島敏文会長は、「足元では住宅着工も回復途上で、住宅資材価格も急騰している。ローン減税を縮減すれば経済波及効果の大きな住宅投資が冷え込み、経済全体が腰折れする」と訴えた。松島みどり・住宅土地・都市政策調査会長は、「住宅ローン減税は業界のためにあるわけではない」と住宅購入者のための制度と強調。同時に「狭い家でも近くに住むことの幸せを残すために40㎡以上を」と床面積要件の緩和を求めた。(日刊不動産経済通信)