≪不動産経済ファンドレビュー≫一次取得層が無理なく買える―狙い目・穴場の沿線市場を見る
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(提供:不動産経済ファンドレビュー)マンション価格が上昇するにつれて、一次取得層が購入出来る物件の範囲が狭まっている。しかし、マンション市場においてメインの顧客は一次取得層であり、デベロッパーは彼らの手が届く商品を供給しなければならない。市場価格の高騰が続く中、比較的都心に近く、沿線アクセス力が高くても割安なエリアは残されている。狙い目であり穴場である沿線市場を見る。

TX沿線の供給狙い目は青井~守谷まで
“魔の伊勢崎線”と相鉄線も割安市場多い

 首都圏のマンション価格が大幅に上昇を続ける中、一般的なエンドユーザーはあまり無理をしないで買える物件を探し始めている。今後は物価上昇に伴う生活防衛意識の高まりから、「無理をしない」意識はさらに強まっていくと見られる。そんな彼らが求める商品像は「都心アクセス力と相対的割安感」だ。トータルブレインは、一次取得層が無理なく買えるマンション相場が残っているマーケット、いわば穴場となっている沿線市場はどこなのか、東京・大手町・日本橋へ乗車時間で40分圏内、直線距離で30㎞圏の範囲を良好なアクセスエリアとして、路線毎に乗車時間、料金、乗降客数、駅の民力、市場相場と需給バランスを検証し、狙い目がどこかを探っている。
 つくばエクスプレスの場合、「柏たなか」が東京駅から30㎞、乗車時間が40分以内なのは、快速停車駅の「守谷」まで。それ以遠だと東京までの運賃が1000円を超え割高感が出てくる。結果的にアクセスが弱い分、「みらい平」以遠の乗降客数は1万人を切る。守谷までがマンションマーケットだが、TX沿線は年収が高い。もともと何もないところに路線を敷き、外から入って住み始めた人が多く、それなりに年収が高く、沿線のイメージアップにつながっている。供給は「流山おおたかの森」と「柏の葉キャンパス」に集中している。特に「みらい平」以遠は全く供給がない。需給バランスが良いとはいえ、外から人をひっぱってくる以上、アクセス力の弱さはネックになる。供給の狙い目エリアは、「青井」、「六町」~「守谷」。2010年以降の供給推移を見ると、徒歩10分圏は年間600~800戸台で安定している。ほとんどが「流山おおたかの森」と「柏の葉キャンパス」に集中しており、その他8駅の需給バランスは非常に良好。平均価格は4000万円台前半までで安定している。コロナ禍の2020年以降、分譲単価が20%上昇し坪210万円台となったが、面積を圧縮し4000万円台前半をキープしている。2020年以降の供給事例を見ても、共通しているのは単価が200万円台前半、平均価格が4000万円台まで。良好な需給バランスや、沿線力(アクセス力)評価、割安感のあるグロス価格で販売は好調だ。 

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 かつて“魔の伊勢崎線”と言われた東武伊勢崎線は、東京駅から北越谷でも24.3㎞と30㎞圏内で直線距離は非常に近い。大手町・日本橋までの乗車時間も、北越谷で35分と都心アクセスが良好。運賃も500円程度までと割安水準だ。伊勢崎線の乗降数は北千住が33万人と圧倒的だが、急行停車駅以外は、2~3万人台が多い。年収は400万円台が多く全体的に低めにある。沿線アクセス力が高いわりに、駅力・民力はやや弱めだが、デベが伊勢崎線沿線を嫌っていたせいか、近年マンション供給が非常に少なく、沿線全体に需給バランスが良好。平均単価は北千住を除いてまだ100万円台の駅も多く、一次取得の一般層が無理なく検討できる価格水準のマーケットが並んでいる。
 京成本線は、京成八幡まで15㎞圏内、東京駅までの乗車時間も京成小岩まで30分以内と都心アクセスは良好。マンション供給も少なく、需給バランスは抜群だ。京成押上線は全駅が東京から10㎞圏、都営浅草線乗り入れで日本橋直通のため、乗車時間も全駅が20分以内と抜群の都心アクセス力がある。沿線イメージはやや弱いが、23区内でアクセス力の高さのわりに相対的に割安感の強いマーケットであり、穴場度合いは非常に高い。
神奈川に目を移すと、相鉄線は、これまで横浜で東海道線に乗り換え東京方面にアクセスが基本であったが、すでに開業済のJR直通線と2023年3月開業予定の相鉄東急直通線によって、新宿・渋谷へダイレクトにアクセスできるようになった。相鉄本線では東京から鶴ヶ峰までが30㎞圏、終点の海老名、いずみ野線の湘南台が40㎞圏。乗車時間は二俣川までが30分台で、狙い目エリアは二俣川までと考えられるが、それ以遠の駅も、JR・東急直通線のメリットで、今後は横浜市内居住の新宿・渋谷方面通勤者にもターゲットが拡大していくことが期待される。沿線全体に供給が少なく、分譲単価も横浜至近の平沼橋~天応町は坪300万円台前半に上昇しているが、まだ200万円前半までの割安なマーケットも多い。

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