自民党は25日、住宅土地・都市政策調査会中古住宅市場活性化委員会(西村明宏委員長)と空き家対策推進議員連盟の合同会議を開き、施行5年が経過した「空家等対策の推進に関する特別措置法」の見直しの方針を確認した。特定空家のガイドライン改正など、運用面での対応とし、法改正は行わない見通しだ。
空き家特措法は、倒壊するおそれがあり著しく危険な空き家などを「特定空家等」と定義。特に悪質な特定空家等に対しては、地方自治体が代執行で除却できるようにしたほか、空き家活用の支援策も盛り込んでいる。議員立法で15年5月に全面施行され、施行5年目に見直すことが規定されていた。
会合では、国土交通省が地方自治体から寄せられた同法律への改善要望について説明した。地方自治体からは、空き家の代執行時に現金や預金通帳といった動産が出てきた場合の取り扱いについて明確化を求める声が寄せられた。国交省が行った市町村アンケート(116市町村回答、167事例)によると、動産を保管しなかった事例は69%で、除却で出た動産は廃棄されている例が多かった。保管対象や期間を法令で定めると、これまで各自治体で柔軟に対応していたことが難しくなる可能性があることから、法改正ではなく、既にある特定空家等ガイドラインの改正で対応する。
12月9日までパブリックコメント中の改正案によると、特定空家の動産は、適切に処分・処理すべきと記載。現金や有価証券は供託所に供託する方法を示し、写真や手紙、位牌など社会通念上処分をためらう動産は、保管期間を「適切に定める」とするが、具体的な期間は示さない。改正は年内に実施する。
2020/11/26 日刊不動産経済通信