アジア太平洋(APAC)圏のホテル投資が復調してきた。同圏域の上期(1~6月)のホテルへの投資額が前年同期比33%増の68億米ドルになったことがジョーンズラングラサール(JLL)の調査で分かった。19年上期との比較では11・9%増とコロナ禍以前の投資規模を上回った。22年通期の投資額は100億ドルを超えると同社は予想している。
複数の国で出入国の制限が解かれて旅行需要が急回復し、ホテルに投資する機運も再び高まった模様だ。上期のホテルへの投資件数は前年同期比20・2%減の75件と減ったが、取引された客室の数は29・9%増の1万9822室と増加した。同社は客室数ベースでの投資が増えた理由を「潤沢な資金を持つ機関投資家によるポートフォリオ(複数物件の)取引が急増したことが影響した」と分析している。
今年下期の動向について同社の辻川高寛・ホテルズ&ホスピタリティ事業部長は「旅行需要とホテル投資の回復が続きそう」と読む。ただ旅行需要の回復が目覚ましい一方、景気後退への懸念が世界的に強まってもいて、売り手と買い手の価格目線に差が開く傾向も強い。金利や景気の動向や戦争などの情勢によっては下期に投資意欲が弱まる可能性もありそうだ。
上期のホテル投資額を国別にみると、日本が18億ドルとAPACでは首位。次点以下は韓国(17億ドル)、中国(16億ドル)の順。日本市場の投資規模は前年同期比91%増と大幅に回復した。中国は多くの都市で都市封鎖の措置が取られたことなどが響き、ホテルへの投資額も43・8%減と大きく縮小した。中国の投資額は通年で20億ドル程度になると予想している。
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