区分所有法の見直しへ政府が方針 23年度にも具体の検討に着手(上)
マンションタイムズ

 建替え決議のあり方や区分所有法の課題について、法務省や国土交通省などが昨年3月に立ち上げた「区分所有法制研究会」で議論される中、政府の方針として早期に論点を整理すべきテーマが示された。建替え決議の5分の4要件の緩和や、区分所有関係の解消を全員合意でなくても可能とする仕組みなどが挙げられ、今年度中にも論点を整理し2023年度には法制審議会(法相の諮問機関)で検討するよう方針付けている。挙げられたテーマは、研究会の中で議論を深めていく。

 政府はこのほど、規制改革会議や所有者不明土地塔対策の推進のための関係閣僚会議を開催し、区分所有法制の見直しに関する検討に取り組む方針を掲げた。区分所有法制研究会の場で、今年度のできるだけ早期に論点をとりまとめた上で、速やかに法制審議会へ諮問することとした。
 規制改革会議で論点整理を求めたテーマは3つ。一つ目には、建替え決議がされた場合に専有部分の賃貸借契約を円滑に終了させる仕組みを挙げた。決議された場合でも専有部の賃借権が存続することで、建替え工事の早期の実施を阻害しているという課題が指摘されているため、賃借人への適切な補償といった利益保護を踏まえた仕組みを構築するための論点をまとめる。研究会では、建替え決議から賃貸借の終了までの期間を6カ月以内と定める「A案」、建替え決議により専有部の賃借人に補償金を支払い賃借権消滅請求をすることができ、賃借権は消滅できる「B案」、賃貸人が賃借人に対し更新の拒絶通知または解約を申し入れるときに借地借家法の正当事由に関する規律を不適用とする「C案」が挙げられている。今後さらに検討すべき課題を探る。
 二つ目は共用部分の変更に関する決議の要件の緩和で、耐震補強工事を行う際に共用部を変更する可能性が少なくないほか、一棟リノベによる再生が今後増えることが見込まれるため、特別決議の要件を緩和が考えられるか議論する。研究会ではこれまでに、多数決要件を区分所有者及び議決権の3分の2以上とすることや、所在不明区分所有者の特別決議からの除外などが挙げられている。
 三つ目は建物・敷地の一括売却を一定の多数決で行うことを可能とする仕組みの構築だ。研究会では売却に当たり、一定の多数決で建物・敷地を一括で売却できる制度のほか、建物を取り壊した上で敷地を売却できる制度や、建物の取り壊しができる制度も案として挙げている。また災害時に建物の全部が滅失した場合に一定の多数決で敷地内に再建できる制度や敷地売却できる制度、全部滅失の場合でも区分所有者の団体として集会を開くことができる仕組みも検討する。

区分所有法の見直しへ政府が方針 23年度にも具体の検討に着手(下)へ続く(予定)

 

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事