シリーズ;相続対策最前線③ 相続登記義務化 名義変更手続きを定額・自動化 空き家問題解決にも繋がる AGE technologies(上)

不動産の「相続登記義務化」でエイジテックが注目されている。相続登記に必要となる面倒な名義変更登記手続きをテクノロジーによって解決するベンチャー、AGE technologiesの塩原優太社長に話を聞いた。同社は不動産の相続に必要な名義変更登記手続きを効率化するサービスを全国展開する。システム化によって手続きにかかる負担や手間をカットし、サービス利用料は一相続あたりの不動産の件数にかかわらず一律とした。相続人は家にいながらにして名義変更登記ができるという。一体どのような仕組みで運営しているのだろうか。

【塩原社長プロフィール】

大学卒業後、インターネット広告代理店のオプトに新卒入社しウェブ広告の運用実務を経験。続いてアプリ開発のスタートアップにて、C向けサービスの立ち上げに携わる。中小企業オーナーの事業承継や相続に特化したコンサルティング企業を経て、2018年にマーク・オン(現・AGE technologies)を創業。2021年に現社名に変更した。

AGE technologies 立ち上げの経緯について

 

 新卒後にネット広告代理店とスタートアップ企業を経てコンサルティング会社に入社した。そこではAGE technologiesのような「相続手続きが簡単にできます」というツールの提供ではなくて、経営者が保有する資産をどう承継するかといった経営者向けのコンサルティングを行っていた。

 20代前半に、創業期のスタートアップで働いたことがきっかけで、会社を作って時価総額を高めてIPOするという経営ストーリーを間近で学んだことがきっかけのひとつだった。これまでの職歴からテクノロジー×◯◯を事業の軸に考えていた。そういう点に立った時 経営者向けのコンサルは課題は非常に深く、解決しがいもあり市場規模も大きいが、ネットの介在価値が小さいのでないかと。

 この分野はネットで効率化するよりも、優秀な弁護士、会計士 税理士など専門家チームの力で解決するソリューションが効く分野。その一方でマス層にとっては何百万というフィーを支払って依頼することは難しい。だが広く見ると、マス層の課題はある程度は共通化されているのでネットによる効率化が利くのがマス層じゃないか。マス層は日本では9割あるので、そこに向けたサービスを展開すれば事業として成立すると考えた。

 

 サービスラインナップについて

 サービスは3つある。「そうぞくドットコム不動産」「そうぞくドットコム預貯金」「そうぞくドットコムマガジン」の3つのサービスを展開している。サービスローンチの順では「そうぞくドットコムマガジン」で続いて「そうぞくドットコム不動産」、直近「そうぞくドットコム預貯金」を立ち上げた。メインは「不動産」で「預貯金」はそれに合わせてリリースしたもの。「マガジン」はその名の通り記事メディア。創業時から運営するオウンドメディアで、相続手続きだけでなく、生前対策から、葬儀やお墓など供養の領域まで、幅広にライフエンディング全てを対象とした記事を配信している。この領域では、お客様を捕まえるのが一番大事なポイントなのでその後のサービスを展開する前準備として立ち上げたものだ。 

そうぞくドットコム不動産

 「そうぞくドットコム不動産」「そうぞくドットコム預貯金」はいずれも同じで、相続が発生した際に利用するサービスだ。利用するのはご遺族の方々であり相続人である。「そうぞくドットコム不動産」は故人が持っていた不動産の名義変更が簡単にできるサービスだ。「そうぞくドットコム預貯金」は故人の銀行口座の払い戻しが簡単にできるサービスだ。

 その中で不動産に着目した理由は

 2つある。1つはまず起業の背景もそうだが、マスを対象に日本中で使えるサービスを目指す中で、多くの方が持っている個人の財産とはなんだろうかと考えた。多くは不動産と預貯金である、それは数字を見ればわかる その2つに絞った。次に不動産と預貯金のどっちからやるか。多くの人にとってどちらがより扱いが難しいかを考えた。扱いが難しいほど人に頼んだりすることが出てくるだろうと。そこに対して適切なサービスを提供すれば、ビジネスとして成り立つ。銀行での手続きに関しては、多くの方が人生で一度や二度、窓口を訪れて何かしらの手続きを行った経験があるだろう、一方で、法務局に行って不動産の登記をやったことがある一般人はほぼいないだろう。そういう課題の深さから不動産をまず選んだ。

 2つ目は、サービスローンチ時は相続登記義務化は決まってなかったが、文脈として司法書士含めた業界関係者とコミュニケーションをする中で空き家の問題は大きくなると聞いていた。行政なども不動産の問題はすごく社会課題として大きくなるだろうと。そういう大きな社会課題としてのマクロ視点からも不動産をやるべきだと考えた。

 その中で名義変更手続きにフォーカスした理由は

 名義変更をやるということは元々持っていたい人と次に持つ人の両方を抑えられることになる。登記する前の情報は世の中には出回ってない。こういう情報にいち早くタッチできるというのは営業上の資産になると思った。

AGE technologies塩原社長

シリーズ;相続対策最前線④ AGE technologies(下)続く

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事