トップインタビュー・マンション管理の未来 第47回 住商建物社長 松田 晋治氏(上)
住商建物・松田晋治社長

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化に加え、管理員の高齢化という「三つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含めたマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、マンション管理のみならず、既存住宅流通や新築マンション販売、建物コンサルなど多様なサービス分野を担う住商建物の松田晋治社長に、重点的に取り組んでいる課題や政策要望などを聞いた。

SDGsの視点で事業を再定義 資産価値の維持や居住者の満足度向上へ

――マンション管理事業の課題と戦略は。

 松田氏 当社の特徴や独自性を含め3点から説明したい。新築マンション販売や新築マンションの技術コンサル、マンション管理、共用部の工事コンサル、リフォーム、既存住宅流通や買取再販など、当社は住宅に関するフルラインの機能を持っている。質の高いサービスを、機動力を生かしながらワンストップで提供し、「住生活のサポートを通じたお客様の充実した人生への貢献」というテーマを深め、強化していきたい。

 2点目は、デベロッパー系管理会社として大規模修繕工事に向けた財政計画を踏まえ、無理のない計画修繕提案を行っている点だ。デベに対しても新築販売時から均等積み立て方式に近づける金額設定の働きかけを実施している。

 3点目は住友商事グループが掲げるESGを念頭にグループ一社でBtoCビジネス中心の企業としてSDGsを意識し、当社が企業体として役割を果たすだけでなく、一般消費者である居住者や管理組合の行動もSDGsにつながるような事業を展開していきたい。管理会社として組合に行う提案をSDGsと関連させて再定義しながら実現可能性をお客様と考えていきたい。

――建物コンサル事業の現状と戦略は。

 松田氏 日常の管理を通じて居住者の不満やニーズをとらえ、機械式駐車場の平面化や宅配ボックスの新設など、中長期的な視点での提案を進めているほか、築年数や建物の特質に応じて断熱効果の高いサッシへの更新などグレードアップ提案も計画・実施しているところだ。マンションは終の棲家であるという切り口で息の長い提案やサポートをしていきたい。最終的には、大規模修繕ではなく建替えという判断があり得ることを想定し、デベ系管理会社として、また新築現場を多く手掛けたゼネコン出身者が多いという強みも生かし、助言やコーディネートなどさまざまな役割でサポートしていく考えだ。

IT活用やDX推進とともに コミュニケーションの重要性

――コロナウイルス感染症対策を通じたマンション管理業務内容の変化について。

 松田氏 1回目の緊急事態宣言の際には社員は原則在宅勤務でピーク時の本社等オフィスは、出社率を2割程度に抑えた一方、現場管理員はごみ出し、保守点検など外せない業務以外では自宅待機や時差・時短出勤、複数現場の人員減などを管理組合にお願いした上で実施した。また、オフィス勤務の社員についてはリモートワーク向けの設備やシステムを整備し、会議もソーシャルディスタンスを保った上で少人数単位で実施したり、ウェブで複数の会議室や自宅等をつないで実施するなど3密を避ける工夫をした。一部の管理物件ではITを使った理事会や総会の実施やテスト運用も行った。

 IT活用やDXの流れはアフターコロナでも継続されるべきものだと考えている。その一方で人と人が顔を合わせるからこそ意味があるリアルな交流も重要で、IT活用で効率化できる部分と整理して提案をしていきたい。ウェブ理事会などを経験してみて、集会室やエントランスホールなどの共用部分にインターネット環境がないと実現できないことが判明したので、管理組合に対してWi-Fiなどの設置提案も重要だと実感した。  コロナ感染症に関しては居住者のプライバシーを守りながら、注意喚起や消毒、健康対策をどう両立させるか配慮した点が多かった。今後も社員、また管理組合に対して速やかで適切な判断ができるよう手続き面での整理や事例共有をしていきたい。

2021/4/5 月刊マンションタイムズ

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