(提供日刊不動産経済通信)オフィスビル総合研究所(今関豊和代表)は、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)における7月末時点のオフィスビルの需給動向を公表した。空室率は前月比0・12㌽増の4・95%と5%台が目前だ。空室率の先行指標となる潜在空室率も0・06㌽増の7・78%と7%台後半の高位が続く。空室率は中央区が上昇、渋谷区は下降の傾向が鮮明で「両区の相反する動きに相殺される形で都心の潜在空室率は小幅な動きにとどまっている」(今関氏)という。
都心の空室率は昨年9月に空室率が6年ぶりに4%台に乗り、11カ月間緩やかに上昇を続けている。都心では月内に「東京ミッドタウン八重洲」(東京・港区)が竣工し、その後も来年にかけて複数の大型ビルが完成する。こうした新たなビルへの移転に伴う二次空室の発生が懸念される。今関氏は「(この1年横ばいに近かった)潜在空室率が上昇しそうだ」と展望する。区別の空室率は中央区が0・29㌽増の5・64%、渋谷区が0・29㌽減の3・77%と需給カーブが好対照になっている。
同社が5月に公表した都心5区における向こう3年間のオフィス需給予測によると、空室率は年間13万坪の大量供給が見込まれる23年第1四半期(1Q)に5・3%で天井を打つ。その後は需要が供給を上回り始め、24年2Qに4・2%、25年2Qに3・8%と下降基調をたどる。一方、賃料は向こう3年間に現行比で1・9%の微増を見込む。現状では大量供給を前に契約条件を緩める貸し手が多いが、床の供給が増えればそのことが需要の呼び水になると予想。賃料は坪当たり2万2000円前後を行き来すると展望する。同社は8月末に最新の需給予測を公表する予定だ。
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