東京と大阪、名古屋の三大都市圏で路面小売店舗の空室が増えている。CBREがまとめた第3四半期(3Q)のリテール需給動向によると、銀座と心斎橋、栄の目抜き通りの空室率が前年同期比で大幅に上がった。心斎橋は4・2㌽増の5・0%、栄は3・2㌽増の3・2%と上げ幅が大きく、想定成約賃料(プライム賃料)も4万~5万円下がった。銀座の空室率は0・6㌽増の2・6%と微増だが、高級ブランドなどを始め一等地への出店に前向きな企業が依然として多いため、賃料は40万円と横ばいを保った。
銀座の空室率は前期比では0・9㌽増の2・6%に上がった。高級系の出店意欲は強いものの「コロナ禍の業績不振で撤退するテナントが増えた」(CBRE)という。出店需要はこの先さらに鈍化する見込みで、賃料は21年4Qまでに7・5%下がると予想している。表参道・原宿の空室率は前期比0・2㌽減の1・7%と微減だが、賃料も9・1%減の30万円と下がった。アパレルなど収益を落とす企業が多く、リーシングが難航している模様だ。新宿と渋谷でも来街者と出店者が減る傾向にあり、賃料は新宿が前期比4・8%減、渋谷が9・1%減の30万円と低調な値動きだ。
大阪では複数の高級ブランドが御堂筋への出店を検討する動きがある。梅田では日用品を扱うドラッグストアなどの出店意欲が強いという。梅田と心斎橋の賃料はいずれも前期比で横ばいの25万円。名古屋・栄では複数の店舗がコスト削減を目的として目抜き通りから商業施設に移転したが、跡地の引き合いが弱く、空室率は前期の0・0%から3・2%に上昇。平均賃料は10万円と前期よりも2万円下がった。
2020/11/05 日刊不動産経済通信