世界経済に逆風もオフィスや住宅は堅調 CBREが報告書、「景気後退は回避」
高層ビル群(六本木・赤坂)

 (提供日刊不動産経済通信)CBREは世界経済の動きと不動産市場への影響を展望する報告書を公表した。金利上昇やロシアの軍事侵攻、中国経済の減速などが経済成長を鈍らせており先行きが不透明な情勢だが、そうした逆風が不動産市場に影響を及ぼすまでには時間がかかると指摘。実需では賃貸オフィス、投資では上位オフィスや住宅、物流施設などは堅調さを保つと予想している。
 CBREグローバルリサーチ部門がまとめた報告書は「世界経済はやや鈍化しながらも底堅く動く」と楽観的な見方が強い内容。根拠として米欧諸国がコロナ禍収束後を見据え経済活動を再開し、複数の国で高い経済成長率が見込まれる点を挙げる。中国では住宅市場の冷え込みやそれに伴う建設・小売り業の不振などが景気悪化の要因になると読む。ただ今後1年は人民元安が物価上昇を抑え世界の需要を喚起すると予測する。
 金利動向では米国のFFレートが23年末までに最大3・5%まで上がるとみる。短期金利が2・5~2・75%を超えると景気後退局面に入ると指摘し、特に住宅需要が冷え込む可能性があると警鐘を鳴らす。ただ米国の強い消費の動きなどを勘案すると大きな景気後退は回避できそうだとしている。不動産融資では足下の金利上昇を受けて不動産の取引価格が見直されるケースもあり、下期にかけて不透明な情勢だ。
 同社が4月に公表した調査結果では、昨年1年間に日本の投資家が海外の不動産に投資した総額は前年比72%増の20億米ドルと復調した。コロナ禍以前の19年実績を45%下回ってはいるが、特に米国への投資需要が強い。一方、大型取引が減った反動で海外から日本に向かう投資は21%減の103億ドルと縮小した。

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