Brillia多摩ニュータウン団地管理組合・菊地理事長インタビュー①より続く
世代の融合には相手の意見に耳傾ける文化を尊重
ブリリアは、建替え前から居住する住民と建替え後に入居した住民が融合できていることもひとつの良さであると感じています。
うまく融合ができたのは、ひとつには建替え前の住民の姿勢があると思っています。建替えに向けた合意形成を進める中では、総会などでの議論だけでなく廊下での立ち話などいろいろなところで話し合ってこられました。その中で、皆さんが自分の意見だけを主張していても進まないと感じ、柔軟に考えたり相手の意見に耳を傾けたりする文化ができていたことも大きいと思います。建替え前の住民だった理事が建替え後に入居した若い理事に意見を求めることが多かったですし、それに対し自由に発言する環境も生まれました。建替え前の住民が、新たな住民の入居を楽しみにされ、新しい住民と一緒に歩んでいきたいという思いを持っていたのも大きかったです。
若い世代としても、理事に就いてみるとこんな大変なことをしていたのか、と気づく機会があります。例えば夏まつりは近隣住民も訪れるので規模も大きく、企画から運営、片付けまで行うのは大変ですが、建替え前から続いてきたこのイベントを自分たちで引き継いでいかなければならないと自然と思うようになります。建替え前の住民は多くのノウハウをお持ちですし、引き継いでいくためには昔を知る人に聞いていこうという姿勢に自ずとなっていきます。このように新旧・世代間の融合がうまくいっているのは、建替え前の住民が新しい意見に耳を傾け、それを取り入れながら「今」の姿に合うよう改善していこうという姿勢でいたこと、そして若い世代としても良い伝統を継承し一緒に良い街をつくっていこうという姿勢でいることが管理組合全体に根付いてきていることの表れなのかもしれません。
若い理事が組合に安心感を生む
就任は新たな発見や楽しみ見出す
この5月で、副理事長と理事長を計4期8年務めました。続投したのは、コミュニティ形成に向けた活動を根付かせたいという思いもありましたし、建替え前の住民から学んだ知識・経験や耳を傾ける姿勢などを新しく就任する理事に伝えていくことも、私の重要な役割と思ったからです。
今後役員になる人には、やはりコミュニティを大事にしていく姿勢は持ってほしいと思います。誰もが自由に意見を言え、その意見に耳を傾ける雰囲気は継承できるといいと思います。これは管理組合全体で何か大きな意思決定をする際の議論を進めるときにも欠かせない基本姿勢だと思います。
これまで理事会役員には30代、40代の若い世代や女性がどの期も高い割合で就任してきました。そうした姿があるので、初めて理事に就く人が抵抗感を感じずに参加する雰囲気はできたように感じます。理事を経験すると知り合いが増え、地域に目を向けるきっかけにもなり、良い勉強になります。自分より年齢が上の方から「若い人が理事にいると安心感がある」と言われるなど感謝される場面も多く、やりがいや楽しみを見出す理事もいます。理事会では年齢や性別や職場での役職などは関係なく平等な立場で自由に議論できるのも、新たな発見ややりがいを生んでいるようです。大きなイベントや重要課題の解決を皆で力を合わせて行い、やり切った達成感や爽快感をぜひとも多くの人に経験してもらいたいと思います。
2022/5月号 月刊マンションタイムズ