シリーズ;不動産の”正直営業”はどこまで可能か??⑦ ウェブで集客 片手仲介が基本 物件囲い込みは消費者利益に反す
不動産流通システム 深谷社長

今夜はNHKテレビドラマ「正直不動産」の第4回が放送(4月26日)される。果たしてドラマのような「正直な営業」はどこまで可能だろうか。漫画原作の取材とドラマの考証(不動産考証)および不動産監修で協力しているREDS不動産流通システム(東京・中央)の深谷十三(ふかや・じゅうぞう)社長は、「レインズ」にみる仲介会社の囲い込みの実態と、不動産営業に求められる役割について語った。

シリーズ;不動産の”正直営業”はどこまで可能か??⑥より続く

レインズとは、Real Estate Information Network System (不動産流通標準情報システム)の略称で、不動産流通機構という機関が運営している不動産情報交換のためのネットワーク・システム。

・不動産会社は売主から不動産売却の依頼を受けると、その不動産の情報をレインズに登録。
・不動産の購入の依頼を受けた不動産会社はレインズで物件の検索をし、依頼主に紹介。
このように、不動産会社同士の、不動産に関する情報交換がレインズを通してリアルタイムで行われている。

レインズを利用できるのは指定の不動産流通機構に会員登録をしている不動産会社に限られ、不動産の売買を希望する一般の方は利用することができない。

不動産投資TIMES

レインズの仕組みは機能しているか

深谷氏 「レインズが閲覧できる」という優位的立場だけで不動産営業マンを標榜しようとする輩が多くいる。レインズに寄り掛かり自分たちの地位を保つような営業スタイルではダメだ。いっそうのこと一般の人もレインズが見れるようにすれば、そのような中身のない営業スタイルは無くなる。いまの時代レインズに載っているような物件情報は、ネットの隅々まで探せばほとんど見つかる。情報格差を無くせば、その情報に対しプロとしての専門的な意見が欲しい、専門家としての見地から安全に取引を進めるための手順を手ほどきして欲しいといった声が一般の消費者から出てくるだろう。こうしたニーズを顕在化させることにより、不動産営業マンも本来求められている付加価値に向き合うだろう。いずれにせよ不動産営業マンは宅地建物取引士資格を持っていないといけない。宅建士の社会的地位を向上させるためにも、「レインズを閲覧できる」はやめるべきだ。

国は「レインズ改革」を進めたが

 深谷氏 更なる機能や運用の見直しがレインズには必要だ。数年前に物件の情報をいちいち問い合わせをしなくても確認できる「ステータス表示機能」ができたものの、その機能は完全に形骸化している。なぜならステータスの切り替えのタイミングのズレを使った方便が常態化しているからだ。例えば「公開中」ステータスだから連絡してみると「ついさっき申し込みが入ったところだ」と言われる。それならなぜこのようなステータス表示なのかと問いただしてみると、「当社は毎日✖️時に切り替えるルール」だと強弁し、「変更の時間ではないのでステータスを切り替えていなかった」などと、いろいろと言い訳をしてくる。また、ステータスを「公開中」にしておくことで、「当社は囲い込みなんてしていませんよ」と、売主に対する言い訳の材料にもされている。ステータス切り替えは売主ではなく業者しかできないので、結局「ステータス表示機能」は役立ってはいない。 

 対応のしようがないと

 深谷氏 連休明けの5月29日(日)に第一回となる物件の囲い込みの実態を明らかにするセミナーを実施する。お客さんに物件を業者に確認してもらうと、「ありますよ、今すぐ内見可能です」と言われるが、業者が電話すると無碍に断られる。この違いをリアルに再現するようなセミナーだ。囲い込みを問題視する不動産業者の仲間を募り、いつどの会社が囲い込んだかの情報をストックし、エビデンス として国交省に持っていくつもりだ。それぐらいやらないと何も変わらない。「ステータス管理があるから大丈夫」なんて言うのは、現場の実態を知らない机上の空論だ。もしも、こうした動きをすることにより一部の業者から嫌がられるにしても、消費者から嫌われなければそれでいい。消費者のために正しいと信じたことをやって、囲い込みがしにくくなる不動産業者に嫌われたとしても、それはそれでしょうがないことだ。当社の前期の不動産取扱高は400億円弱だったが、今年は500億円を目指す。 

 業界の改善点についてどう考えるか

 深谷氏 仲介手数料の自由化と、両手仲介の宅建業法での禁止と、レインズの一般開放。この3つをやらないと根本的に業界は変わらない。 仲介手数料の自由化というのは、例えば当社のようなウェブ集客を専門にやっているところは手数料を低く抑えることで差別化を図る。一方で大量のCMを行い、大勢の人員を抱え、駅前の一等地で多店舗展開する大手は、そのブランド力を前面に出して5%や6%の手数料を求めても良いのではないだろうか。他の業界と同じように自由に競争させてその中で消費者に見極めてもらえば良いのだと思う。

 
 ウェブ特化の営業のポイントは

 深谷氏 手数料安くするためにはまず固定費を抑えないといけない。経費が掛かる最たるものは事務所などの店舗費用だ。当社は事務所形態だが、他社は駅前の一等地とか店舗を構えているので家賃負担が大きい。一方で集客については買主も売主もウェブ上で行っている。当社は言うなれば不動産会社とマーケティング会社が 融合した会社だ。多くの不動産会社は、マーケティングはポータルサイトや広告代理店に任せっきりだが、その広告コストは莫大だ。広告費を回収したいがために、おとりと広告まがいのものがいまだに存在している。当社はマーケティングを外注せず完全に内製化している。

ウェブマーケは私と広報・マーケティングを担当している坂口がメインで対応している。坂口はIT関連業界の出身であり、二人でウェブ広告の効果測定をしながらSEOを地道にやっている。これはすごく細かい仕事で毎日膨大な作業量だ。これを外に出さずに完全に内製化しているところが当社のポイントだ。どんな優秀な代理店でも不動産現場の知識は乏しいから、どうしても表面的な広告内容になってします。一方でどんな優秀な不動産屋でも広告配信のノウハウは乏しいから、ウェブ上で一番効率の良い広告配信方法が分からない。このまったく違う二つを融合させたのがREDSである。最近の反響の傾向として、すぐに売りたい、買いたいというよりも、まずは相談したいという人が増えてきた。より高く売りたい、より安く買いたい、はたしてその為にはどうすれば良いのかを調べると、自然に当社のサイトに行き着くような仕掛けを行なっている。 

シリーズ;不動産の”正直営業”はどこまで可能か??⑧ へ続く

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