シリーズ;不動産の”正直営業”はどこまで可能か??⑧ 「両手禁止」は仲介手数料自由化とセットに  REDS不動産流通システム 深谷十三社長
REDS不動産流通システム 深谷十三社長

NHKテレビドラマ「正直不動産」の第4回が放送(4月26日)された。NHKには消費者からたくさんの反響が集まっているという。漫画原作の取材とドラマの考証(不動産考証)および不動産監修で協力しているREDS不動産流通システム(東京・中央)の深谷十三(ふかや・じゅうぞう)社長に話を聞いた。果たしてドラマのような「正直な営業」はどこまで可能だろうか。

シリーズ;不動産の”正直営業”はどこまで可能か??⑦ より続く

 両手禁止について

 深谷氏 売り手と買い手の間を調整するのも一つの仕事かもしれないが、そもそも売主と買主の売買金額に込める思いは相反する。一人の営業マンがその両方の思いに向けて仕事をしようとすると、どうしても構造的な無理が生じる。だから一層のこと宅建業法で両手仲介を禁止にしてしまった方が、カスタマーファーストの仕事に繋がるのではないだろうか。常に売る人は、より高く売りたいと考える。その思いに仕事で応えようとすると、「お客様のために高く売ってみせるぞ」と考えるはずだ。一方で買い手側に立てば反対である。つまり両手仲介というものは、プロとしての専門性を研ぎ覚ましていくと必ず無理が生じてくる。仲介手数料を自由化して、片手だけでもしっかりと収益になるようにするべきだと考える。

 大手が値引きするのではないか。

 深谷氏 大手は店舗の維持費や人件費などで何かと経費が嵩む。両手ばかりとは言ったが、それをやったところで決して大儲けしているわけでもない。もしも仮に、大手が片手の手数料3%だけでやったら、ほとんどの会社が赤字に転落するだろう。仲介手数料を自由化すれば、ブランドを前面に報酬を求めることもできるのではないだろうか。一定数でブランドに拘るお客様は存在する。たとえば家電製品などでも大手メーカー品でなければ気が済まない人がいる。一方で無名のメーカーの人でもいいという人もいるので、自由化は顧客の選択肢を広げることにもなる。 

 某大手仲介業者に大量退職が生じた 

 深谷氏 物件を囲い込んでそれを業者に持ち込んで、またそれを販売させてもらう。ある種の「持たれあい」がその会社にはあったが、一部の消費者がそのことに気がつきネット上で話題になった。当然、会社としても看過できなくなり業者向けの窓口を一本化した。その結果、それを主に行っていた営業マンの収益が経たれて大量退職に至った。当社には、そのような大手業者から転職して来た営業マンも居るが、本当は彼らも顧客の思いを裏切るような行為に疑問を抱いていたようだ。お客様第一主義の当社はでは、社員の親兄弟をはじめ親戚縁者などの多くが、当社で不動産売買を行っている。また、お客様のリピート率や紹介率が圧倒的に高い。それはうまくその場を切り抜けて、後でバレないかなと不安になるような営業ではない仕事をしているからだ。当社に入社すると、売買で紹介が出ること自体に驚く人も居たりする。 

 

 人材について 

 深谷氏 当社では常に営業社員を募集している。当社が求める人材は、第一に素直で誠実なこと。あわせて宅建士資格と一定の経験があること。加えて最低限のITスキルが必要だ。そうすると意外と狭き門になってしまう。人間性と専門知識と経験があり日常的にスマホやPCを使っている人であれば、当社なら絶対に稼げる。どんどん紹介が出てお客様がお客様を呼ぶ。専門知識と経験という必須要件があるから、当社社員の平均年齢は40代後半と高い。だが今の時代、70歳くらいまでは誰でも現役だ。実際当社にも60歳を超えてバリバリの人が何人も居る。みんな本当に元気だ。また、当社はテレワークを導入しているので、ラッシュアワー通勤の負担も無い。給与体系は固定プラス歩合だが、固定の給与も一定程度あるので、社員で給料に不満を言う人ほとんどいない。

仕事は居住用物件がメインだが、投資用不動産を継続して当社に依頼してくる人もいる。当社に頼めばコストが少なくて済むので、物件ではなく会社や担当者にお客様がついてくる。今は買いが6割、売りは4割。どちらもネットマーケティングによる集客と紹介によるお客様だ。人気のNHKドラマ「正直不動産」の主人公は口八丁の営業から正直な営業マンに変貌していく。本音の営業は当社の姿勢と完全に一致しているので、このドラマの人気は当社にとって追い風だ。正直でカスタマーファーストの営業マンは、ドラマの中だけではなく当社にちゃんと在籍している。

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