(提供 日刊不動産経済通信)政府は22日、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。建築物省エネ法、建築基準法、住宅金融支援機構法、建築士法の改正の束ね法案。法案名は当初別名だったが、共通テーマの「脱炭素」を打ち出して分かりやすくした。これまでこの法案の国会提出は「検討中」とされてきたが、5月中旬にも国会で審議入りする見通し。
同法案が目指すのは省エネ対策の加速だ。現行は中・大規模の非住宅のみ対象になっている省エネ基準適合の義務付けを、25年度までに全ての新築住宅・非住宅に拡大する。トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充を行うほか、販売・賃貸時の省エネ性能表示も推進する。
ストックの省エネ改修と再生エネルギー設備の導入も進める。省エネ改修に対して住宅金融支援機構による低利融資制度を創設する。市町村が定める再エネ利用促進区域内で、建築士から建築主への「再エネ導入効果の説明義務」を導入する。省エネ改修や再エネ設備導入で支障となる高さ制限なども合理化する。脱炭素を進めるため、温室効果ガスの吸収源対策となる木材利用も促進。大規模建築物の大断面材を活用した建築物全体の木造化、防災区画を活用した部分的な木造化を可能にする。二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て木造建築物を拡大する。
斉藤鉄夫・国土交通大臣は閣議後の会見で「原油価格等の高騰対策が急務となるなか、住宅の省エネ促進など経済構造の転換が必要になっていること等を踏まえ、今国会に提出することとした」とコメントした。