トップインタビュー マンション管理の未来58 東急コミュニティー社長 雑賀克英氏(上)
東急コミュニティー 雑賀社長

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化に加え、管理員の高齢化という「三つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含むマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、昨年10月1日付でコミュニティワンを吸収合併した東急コミュニティーの雜賀克英社長に同社の設立の経緯や今後、重点的に取り組んでいく事業などを聞いた。

新たなビジネスモデルへの変革 選択型サービスを管理組合に提案           

コミュニティワンの吸収合併 50万戸のスケールメリットを生かしたITへ投資

        

――マンション管理業の現状と課題について。

 雜賀氏 人口減少局面に入り、新規の分譲マンションは、売れ行きは活況なものの、数としてはそんなに増えていない。また、いわゆる「三つの老い」に加えて、労務費の高騰、管理員の採用難という課題がある一方で、管理組合のニーズは多様性が増している。このような現状の中でマンション管理業は非常に厳しい環境に入ったと認識している。これまでの労働集約型ビジネスモデルにおける「人手に頼ったサービス」を提供し続けるのは限界があると考えている。

 2013年のコミュニティワンの株式購入後、東急コミュニティーとコミュニティワンという2つのブランドを維持してきたが、両社が抱える管理組合のニーズは共通しているものもある。経営資源の集中という観点から2社が一体となり、人手に頼ったサービスからデジタル化への進化を目指したいと考え、共通した課題をITへの投資を行うことで解決していくこととした。50万戸というスケールメリットを生かし、お客様へのサービスの充実と経営の効率化を進める。また、今年4月は国のマンション管理計画認定制度、マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度の施行と共に、東急不動産グループの中期経営計画がスタートする。これを機に、新たなビジネスモデルへの変革を図る方針だ。最低4~5年かけて、あるべき姿に向かって具体的な数値目標を持って進めていきたい。

――ビジネスモデルへの変革をどう具現化するか。

雜賀氏  2016年5月にカスタマーセンターを設立した。お客様の情報を管理すると共に、ポータルサイト「Life Time Portal」で管理組合や個々の区分所有者と接点を持ち、お客様のスマートフォンやパソコンから確認や申請等ができる仕組みを整備してきた。マンション管理の商品の構成としても、管理組合によって多様なニーズがあることを踏まえ選択型の商品を用意していく考えだ。すでにリプレイス物件や一部の管理マンションには提案しているが、今後は修正を加えながら4月以降本格的な展開を目指す。

スタッフ機能は統合し、管理物件については北海道や中国地方など地方から統合した後、ボリュームが多い首都圏は「第3事業部」、関西圏、特にボリュームの多い大阪は「第2支店」の形で旧コミュニティワン物件を管理する部署を置いて、混乱なくサービスを継続している。今後は50万戸規模の管理受託マンションに提供するサービスの品質を落とさずに効率的にサービスが提供しやすいか組織とは何かを考え、首都圏と関西圏で組織改編を検討する。

物件検索システムを開発中 資産価値の向上に寄与

――国のマンション管理計画認定制度、マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度の施行にどう対応していくか。

雜賀氏 管理組合には両制度についてのアナウンスを行っている。申請に向けて管理規約の改定や修繕計画の再策定等の整備を行うべく管理組合との接点を具体的に持ち始めているところだ。管理組合は制度について好意的に受け止めてもらっており、管理会社の役割がさらに高まったと認識している。資産価値の高いマンションにしたいというニーズは根強いものの、申請には管理組合に相応の準備をしてもらう必要があり、ハードルは高いと感じている。管理会社としても十分な説明をする必要があるし、高評価を得た場合、国としてのバックアップとしてインセンティブも必要ではないかと感じる。

 

――DXの推進について。

 雜賀氏 東急コミュニティーが開発した「Life Time Portal」は駐車場の解約や総会の出欠席、理事会の開催など管理組合関係の手続きのほか、個人の専有部に関するサービスの申し込みや決済などもできるポータルサイトで、登録数も徐々に増えている。これを活用し、管理業務の生産性を向上させ、その分、お客様に寄り添った提案をしていきたいと考えており、旧コミュニティワン管理物件にも営業していく。

 また、社内のデータの取り出しや分析が不十分であるという課題に対応するため、物件検索システムを開発している。完成すると50万戸の管理データベースとなり、検査や工事の履歴が瞬時に分かる。お客様にも見える化して提案でき、資産価値の向上に寄与できる。IT重説については参加者全員の承諾が必要となっておりハードルが高い。普及はこれからではあるが、コロナ禍での非接触や管理組合の負担軽減という面では有効な試みになるだろうと考えている。

トップインタビュー マンション管理の未来58 東急コミュニティー社長 雑賀克英氏(下)へ続く

2022/3/5 月刊マンションタイムズ

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