ニッセイ基礎研究所は、昨年末に決まった住宅ローン減税制度の改正による住宅ローン契約者への影響についてレポートをまとめた。税制改正後の控除率0・7%で、新築住宅・買取再販の「その他の住宅」(借入限度額3000万円)の場合、控除期間13年において利息支払額と所得控除額が等しくなる借入額「ブレークイーブン・ポイント」(損益分岐点)は6363万円と試算した。改正前の同ポイントは1億1186万円だった。
変動金利型住宅ローンを0・4%で借り入れた場合を想定した。所得に関しては、「最大控除額を享受できる程度に所得があるもの」と仮定した。ブレークイーブン・ポイントを実際の借入額が下回れば、ローン契約者は経済メリットを得られる計算になる。ブレークイーブン・ポイントは、住宅性能に応じた借入限度額と適用金利によって異なり、借入限度額が最も大きい5000万円となる新築などの「長期優良住宅」「低炭素住宅」で金利0・4%の場合は1億605万円、金利0・3%なら1億4181万円になる。借入限度額が4500万円の「ZEH水準省エネ住宅」で金利0・4%なら9545万円、4000万円の「省エネ基準適合住宅」で金利0・4%だと8484万円と試算した。
利息支払額の合計と所得控除額の合計の差額(経済メリット)を最大化できる借入額も試算した。借入限度額3000万円の物件で金利0・4%の場合、実際の借入金額が3448万円だと経済メリットは約103万円になるとした。レポートは福本勇樹・金融研究部上席研究員が作成した。(日刊不動産経済通信)