トップインタビュー・マンション管理の未来 54マンション計画修繕施工協会(MKS)会長 坂倉徹氏(下)

トップインタビュー・マンション管理の未来 54マンション計画修繕施工協会(MKS)会長 坂倉徹氏(上)より続く

「住生活月間」で国土交通大臣表彰

―IT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した業務の効率化や働き方の見直しについて。
 坂倉氏 当協会は「働き方改革検討会」を今年3月から発足し、すでに5回の検討を重ねている。現場代理人にアンケートを実施し、どのような業務に時間を取られているか聞きだし、作業効率の向上策を模索している。施工業者の週休2日を確保するためには、単にその分の工期を延ばすのではなく、DXをうまく活用して効率化を図る必要がある。2024年3月まで猶予されている労働基準法改正に伴う建設業の時間外労働の上限規制に対応すべく、議論を進めたい。
 ITの活用については、デジタルネイティブ世代である若年層の職人の強みが発揮できるところだ。ベテラン職人の知見を活かしつつ、良い形で現場に反映させたい。職人の賃金
の年間2%アップを織り込みながら、工事価格を設定していかないといけない。修繕積立金や長期修繕計画の見直しの必要性も出てくるだろう。職人の労働力を外国人に依存するだけでなく、日本人の若年層が働き続けられるような待遇の改善に力を注ぎたい。

――マンション計画修繕施工協会が第33回「住生活月間」の行事の一環として国土交通大臣表彰を受けたが、どのような思いか。
 坂倉氏 当協会を創り上げた当初を思い出し、団体の活動が国土交通省に評価され、認められたということで、やっとここまでたどり着いたという思いがある。今後もマンション改修工事に特化した業務に携わる全国の会員が管理組合に満足してもらえるような良質な工事が提供できるような仕組みづくりを続けなければいけないという気持ちを新たにしている。いつの時代にも課題はあり、それを乗り越えていくことが団体の使命だ。国をはじめ、地方自治体などとタイアップを組みながら社会に貢献できる団体としてあり続けたい。

戸建とマンションに共通する課題を解決する


――コロナ禍で施工の現場はどのような影響を受けたか。
 坂倉氏 幸いにも現在までのところ、会員社で施工現場で集団感染が見られた事例は聞いておらず、工夫しながら順調に作業ができていると認識している。昨年2月~5月あたりは、大規模修繕工事を計画していた管理組合が理事会や総会を開催できないとか、打ち合わせを実施することが難しいというケースが見られ、その結果、工事の発注を先延ばしにするという決断をした管理組合もあった。前々年よりは工事件数が減ったが、それは去年の一時期だけだった。先延ばしにした工事と予定通りの工事が重なったりしながら、年間を通じて押し並べてみると前々年と遜色ない量の工事ができた。
去年6月に「マンション計画修繕工事における新型コロナウイルス対策ガイドライン」を内閣府のホームページに公表し、国土交通省にも説明した。これを参考にして会員をはじめとした修繕施工業者が取り組んでくれたことが良かったと思う。
工事を発注する側の管理組合もオンラインで施工業者の選定やヒアリングなどに取り組んでいただけると感染症対策にもなるし、IT化やDXといった取り組みが現場の業務効率化に生きてくる。新築マンションでIT化やDXをにらんだ管理組合運営や共用施設が組み込まれてくると、施工業者だけでなく管理組合、管理会社のそれぞれの作業の効率化が図れるのではないだろうか。

――岸田新内閣が発足し、経済政策を打ち出す方針だ。マンション修繕施工業界として、新内閣への期待や政策要望は。
 坂倉氏 時代に合わせて管理組合にとって費用負担が大きいものや管理組合単体では取り組みにくいものについて政策として後押しする補助制度があってもいいと思うが、住宅という括りで見ると戸建てとマンションにとって共通する課題を解決するという考え方が望ましいのではないかと思っている。その点を意識しながら国土交通省と向き合って話し合っていきたい。
 タワーマンションが地震や水害の発災時にどうなるのかという点については考えていかなければならない課題の一つだ。停電時には水の供給すら止まり、使える設備が極端に制限されるのがマンションの特徴でもある。さらに、大量のマンションがこれまで開発され、低い海抜地や崖地などでも建設されることによって年々激甚化する災害にどこまで耐えられるのか心配だ。安全な建物の建つ条件がより厳しい基準で求められる時代がくるのではないだろうか。

坂倉 徹(さかくら とおる)氏
1946年10月27日生まれ、1969年12月坂倉塗装(株)取締役に就任、1977年11月代表取締役専務を経て、1989年4月(株)サカクラ代表取締役社長。2008年12月からマンション計画修繕施工協会会長。このほか、2000年5月横浜市塗装事業協同組合理事長、同年10月神奈川県フィルム施工協同組合理事長、2006年4月アスベスト対策協同組合理事長、同年5月NPO法人神奈川県アスベスト公害対策協会理事長、横浜塗装工業会会長、2008年5月神奈川県塗装工業協同組合理事長。1999年3月横浜商工会議所常議員、1983年12月横浜青年会議所理事長、1984年1月日本青年会議所神奈川ブロック会長、同関東地区協議会会長。
2005年7月国土交通大臣表彰、2008年11月黄綬褒章受章。2016年11月旭日双光章受章、2018年11月横浜商工会議所副会頭就任。

2021/11/5号 月刊マンションタイムズ

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