金融庁は「令和2事務年度金融行政方針」をまとめた。新型コロナウイルス感染症への対応に取り組み、金融機関が金融仲介機能を発揮して、企業や家計をしっかり支えられるよう、行政として万全を期すこと、金融資本市場の機能を高め、アジアや世界における役割を高められるように取り組むことを示した。また、「金融育成庁」として力を発揮できるよう金融庁自身の改革を進め、コロナ対応を契機とした働き方改革をさらに進化・定着させ、実態把握力や政策的な構想力の水準を高める。
金融庁は、コロナ禍が内外経済に影響を及ぼす中、金融機関において、継続的に事業者の業績等について実態を把握し、資金繰り支援を適切に行っていく必要があると認識。このため、金融庁は政策金融機関や信用保証協会等とも連携し、金融機関による事業者の資金繰り支援に万全を期す。あわせて、制度融資を含む融資手続きの円滑化等を促すため、金融機関・自治体・信用保証協会との間の手続きの効率化・電子化事例等の把握・共有を進める。また、金融機関による資金繰り支援の事例を公表するなど、金融機関の取り組みを支援する。
また金融庁はコロナ後の顧客ニーズに応える金融サービスづくりとして、金融デジタライゼーションを掲げ、金融機関を含む事業者が、デジタル・イノベーションを通じてより利便性の高いサービスを創出できるよう、フィンテックの機能を拡充し、規制・技術上の課題を把握のうえ一体的に支援する。
我が国の金融資本市場の機能を高め、アジアや世界における役割を高める。国際金融機能の確立を目指していくことは、雇用・産業の創出や経済力向上の実現に資するのみならず、国際的にも、リスク分散を通し、アジアひいては世界の金融市場の災害リスク等に対する強靭性を高めることにもつながる。海外金融機関も含めた関係者と十分にコミュニケーションを取りつつ、金融・資本市場の魅力を向上させ、海外金融機関・専門人材の受け入れ環境整備を加速させる。また、許認可や検査・監督プロセスの英語化や登録手続きの迅速化を進める。
金融庁の改革については、コロナ後の国際的な成長競争を勝ち抜くためには、金融行政の質を高める必要があることが背景にある。職員が自主的に難易度の高い目標を設定し、課題解決に向けて取り組むプロジェクトを試行。これらを通じ、職員が主体的に政策を機アック・立案・実行する庁風を築く。新しい働き方を確立させ、業務を合理化・効率化させていくため、テレワークやオンライン会議の積極的な活用を定着させる。
2020/09/15 不動産経済ファンドレビュー